デジタル全盛のこのご時勢、カードゲームやボードゲームといったアナログゲームの人気が再燃している。
その代表ともいえるのが、『どうぶつしょうぎ』だ。将棋の盤面を3×4に縮小し、かつ駒の動きを簡略化した『どうぶつしょうぎ』は、国内50万セットを超える異例の大ヒットを記録中。また、2001年にアメリカで発売されたパーティゲーム『汝は人狼なりや?』が、『人狼~嘘つきは誰だ?~』としてフジテレビで番組化されるほどブレイクしている。
アナログゲームに精通したゲーム研究家の草場純さんに話を聞いた。
「『どうぶつしょうぎ』は子供でもできるようにと考案されたものなので、両親からのプレゼント需要があり大ブレイクしました。一方、『人狼』は日本でもさまざまなタイプのものが発売され、大人の知的なゲームとして楽しまれています。数人の男女が集まってやったりすると盛り上がりますよね」
今のアナログゲームブームは、このふたつのゲームの影響が大きい?
「いえ。もちろんブーム再燃に貢献はしていますが、その2ゲームだけのおかげではないです。1990年代以降でいうなら、まず『遊☆戯☆王』や『ポケモンカードゲーム』などのトレーディングカードゲームの元祖、『マジック:ザ・ギャザリング』が1995年に日本で発売されてヒット。そして2000年前後から『カタンの開拓者たち』というボードゲームも愛好者たちの間で流行し、2009年には『ドミニオン』というカードゲームが日本でも発売されブレイクしました。こういった流れがあり、徐々にアナログゲーム人口が増えてきたんでしょう」(草場さん)
草場さんいわく、このブームの背景には「2011年の東日本大震災の影響もある」という。
「3・11で節電に関心が集まって以降、電気を使わずに遊べるのがいいという理由でアナログゲームを購入する人が増えたようです。実際、メーカーさんから売り上げが伸びたという話はよく聞きます。家族や友人たちとの絆を再確認するためのツールとしても活躍しているんですよね」(草場さん)
オンラインゲームでも友達とプレイすることは可能だ。一方で、アナログゲームはプレイヤーが一堂に会する必要がある。だが、それにより会話を楽しんだり、笑顔や興奮を共有できるメリットもある。
いわば、“絆”を再確認できるコミュニケーションツール。そこにアナログゲームが人気になる理由があるようだ。
(取材/昌谷大介、鈴木悠史[A4studio])
■週刊プレイボーイ43号「アナログゲーム人気再燃のワケ!!」より