米国:政府機関の閉鎖濃厚 予算案成立の見通しなく
毎日新聞 2013年09月29日 21時43分(最終更新 09月29日 23時55分)
【ワシントン平地修】米議会下院は29日未明、オバマ大統領の看板政策の医療保険改革法の実施を1年延期することを盛り込んだ2014会計年度(13年10月〜14年9月)暫定予算案の再修正案を賛成多数で可決した。下院の過半数を握る野党共和党は28日、民主党多数の上院が27日に可決した暫定予算案の修正案の受け入れを拒否、下院に再修正案を提出した。民主党が主導する上院で再修正案が可決される見込みはなく、30日までに新年度予算が成立せず、10月1日から政府機関の一部が閉鎖される公算が大きくなった。
政府機関が閉鎖されれば、クリントン政権時代の1996年以来の異常事態。軍や司法、財政金融関連は通常業務を続ける見込みだが、国立公園や博物館などが休業するほか、パスポートやビザ(査証)発給業務も停滞するなど米国民の生活に大きな影響を及ぼす。また、与野党対立による米財政運営の機能不全が金融市場に悪影響を与えるのは必至だ。
政府機関閉鎖を回避するための暫定予算成立には上下院が同じ法案を可決、大統領が署名する必要がある。オバマ政権の医療保険改革法に反対する共和党が多数の下院は当初、医療保険改革関連の歳出を除外した暫定予算案を可決したが、与党民主党が主導する上院は27日、同歳出を復活させた修正案を可決。「上院案可決か、政府機関閉鎖かのどちらかだ」と下院共和党に受け入れを迫っていた。
しかし、下院共和党は強硬姿勢を崩さず、医療保険改革法実施を1年延期する再修正案を提出し、29日未明に賛成多数で可決した。暫定予算の期間は12月15日まで。ベイナー下院議長(共和党)は声明で「米国民は政府機関閉鎖もオバマケア(医療保険改革)も望んでいない」と、上院民主党に再修正案を可決するように要求。これに対し、リード上院院内総務(民主)は「医療保険改革の変更を迫る企てはすべて拒否する」と明言。カーニー大統領報道官も「共和党の要求は無謀で無責任。共和党は政府機関閉鎖に動いている」と非難しており、与野党の妥協に向けた協議は行われていない。
米財政をめぐっては、10月半ばまでに議会が連邦債務上限引き上げを決めなければ、米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る危機にも直面している。