【ワシントン平地修】オバマ米大統領は２日、政府機関の閉鎖や債務上限の引き上げ問題の解決を目指し、ホワイトハウスで共和党と民主党の議会上下両院指導部と会談した。しかし、医療保険改革法の延期を予算成立の条件とする共和党に対し、オバマ大統領は「交渉には応じない」との姿勢を改めて示し、会談は物別れに終わった。事態収拾の見通しは立っておらず、政府機関の閉鎖が長期化する恐れが強まっている。

　大統領が政府機関の閉鎖をめぐり、与野党の議会指導部と会談するのは今回が初めて。議会側からは野党共和党のベイナー下院議長と民主党のリード上院院内総務ら４人が出席、会談は１時間半近くに及んだ。

　ホワイトハウスが発表した声明によると、オバマ大統領は会談で「交渉するつもりはない」と明言。当面の財政支出を手当てする暫定予算を無条件で速やかに成立させ、政府機関を再開させるように求めた。１７日に期限を迎える連邦債務の上限引き上げに関しても対応を急ぐように要請した。

　これに対して、野党共和党側はオバマ政権の看板政策の医療保険改革の延期を暫定予算成立の条件とする姿勢を変えなかった。共和党のベイナー下院議長は会談後、「我々の違いを解決するために両院協議会設置を持ちかけたが、大統領や民主党は交渉を拒んだ」と強調した。

　１日に閉鎖された一部の政府機関は、与野党が上下院で暫定予算を通過させなければ再開できない。一方、連邦債務上限は議会が１７日までに引き上げを認めなければ、政府は過去の借金の利払いができなくなり、米国債がデフォルト（債務不履行）に陥る恐れがある。

　オバマ大統領は、インドネシア・バリ島で開かれるアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）に出席するため、５日に米国を出発する予定。ただ、今回の議会指導部との会談が物別れに終わったことで、外遊前に財政問題を解決するのは困難な状況となっている。