【ワシントン及川正也】政府機関閉鎖を巡り与野党の対立が続く米議会は４日、下院で多数派を占める野党・共和党が１７日に期限を迎える連邦債務上限引き上げ問題の打開に乗り出した。政府機関閉鎖で強硬姿勢を貫くベイナー下院議長がデフォルト（債務不履行）を回避するよう強い意向を示し、包括的な財政対策策定で民主党に同調を呼び掛けている。ただ、オバマ政権と与党・民主党は閉鎖の解除が先だとしており、調整は難航しそうだ。

　ベイナー議長は４日の記者会見で「米国民は危機を乗り切るため、リーダー同士の協議による打開を求めている」と述べた。マッカーシー院内幹事は、オバマ大統領がインドネシアでのアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会議などへの出席を見送ったことで「大統領と交渉を始める機会ができた」と、協議の再開を改めて求めた。

　これに対し、民主党下院トップのペロシ院内総務は４日、ＮＢＣテレビで、政府機関閉鎖問題について「党内がまとまっていない共和党と交渉するのは困難だ」と述べ、無条件で暫定予算案を通過させるよう求めた。

　４日付の米主要各紙は、ベイナー議長が３日、党内の会合で「米国をデフォルトの事態に陥ることはさせない」と表明したと報じた。党内には財政規律派を中心に債務上限引き上げへの反対論が根強くあるが、ベイナー議長は債務上限引き上げ法案に関しては、民主党との超党派で可決させるよう調整する意向だという。

　ただ、４日目を迎えた政府機関閉鎖問題で共和党がオバマ政権の医療保険制度の延期を求める姿勢を崩しておらず、解決の糸口は見えていない。