米政府機関閉鎖:強硬な共和党「茶会」派に民主党「異様」
毎日新聞 2013年10月07日 21時28分
【ワシントン及川正也】オバマ米政権・与党民主党と野党共和党の対立による政府機関閉鎖問題で、共和党の対決路線を後押しする保守強硬派「ティーパーティー(茶会)」系の存在が際立っている。「小さな政府」を目指す共和党の中でも財政規律を重視する姿勢は強固で、オバマ大統領や民主党はいら立ちを隠さない。上下両院で約60人の勢力だが、2014年議会選挙や16年大統領選でも保守結集の要石となるとみられている。
「異様な集団だ」。政府の閉鎖回避へぎりぎりの攻防を続けていた9月27日、上院民主党トップのリード院内総務は記者会見で茶会系議員に強い不快感を示した。茶会系が主導権を握る共和党を「正気を失っている」と酷評。閉鎖後の今月4日には、下院民主党のペロシ院内総務が「共和党は自分の党を取り戻せ」と呼び掛けた。
茶会系は下院約50人、上院5人で全員共和党。オバマ政権発足後の10年中間選挙で、下院の多数派奪還の原動力となった。12年大統領選共和党予備選で医療保険改革を徹底批判したバックマン下院議員が率いる。
「茶会」は1773年の英国による茶税課税に反発して起きたボストン茶会事件に由来する。
リーマン・ショックの直撃を受けた金融機関や自動車大手への公的資金投入によるブッシュ前政権の救済策に反発。そして、オバマ政権による大規模景気対策や原則国民皆保険の医療保険改革を批判し、共和党の「小さな政府」回帰・保守純化路線をけん引している。
しかし、妥協を拒む姿勢には批判もある。政府閉鎖は「オバマ大統領の医療保険改革が原因」との態度を譲らず、政府・与党は猛反発。茶会系への世論の支持率は2割程度で、共和党穏健派からも不満が強い。
17日が期限の連邦債務上限引き上げ問題は、引き上げないと米国債がデフォルト(債務不履行)に陥り金融パニックを誘発するとの見方が強い。だが、茶会系のクルーズ上院議員は6日、「債務上限は行政監視のテコだ」と譲らない。保守強硬派の別の議員も米紙に「債務削減への決意を示し、金融市場は安定する」と語った。
共和党は1980年代のレーガン革命、90年代のギングリッチ下院議長の保守革命、2000年代のブッシュ政権による宗教右派結集など、保守派が強力なエンジン役を果たしてきた。茶会系はオバマ大統領のシリア空爆にも反対し、武力行使路線の転換を促すなど外交的な影響力も持っている。