米国:債務上限問題 ぎりぎり回避か? 期待感と警戒感
毎日新聞 2013年10月15日 21時06分(最終更新 10月16日 00時00分)
米国債のデフォルト(債務不履行)危機回避に向けた連邦債務上限引き上げ問題を巡り、米議会上院の与野党トップは14日、大詰めの協議を行った。協議後、民主党のリード院内総務は「合意に楽観的」と発言、野党共和党のマコネル院内総務も「進展があった」と語り、17日のデフォルト回避期限前の合意に期待が高まった。14日のニューヨーク株式市場のダウ平均株価は1万5301・26ドルと約2週間ぶりの高値を回復。連休明け15日の東京株式市場の日経平均株価もこれに呼応し続伸した。ただ、上院で与野党が合意しても、野党の共和党が多数の下院での採決はなお不透明で、市場には警戒感も根強い。
米主要メディアによると、上院与野党は合意案として、来年2月15日まで債務上限を引き上げて政府が必要な額を借金できるようにし米国債のデフォルト危機を先送りする案を軸に調整している模様だ。また、1月15日までの暫定予算を成立させ、閉鎖された政府機関を再開させることも検討。上院民主党のリード院内総務が「15日は輝かしい日になるだろう」と語ったことから、米メディアは「妥結は近い」と同日中の合意成立の可能性を報じた。
15日の東京市場でも「米議会の良識が働いて最後は妥協する。デフォルトの可能性は5%未満」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘・投資情報部長)などとの期待感から、輸出関連株などに買いが入り、日経平均は5営業日続伸した。同日の東京外国為替市場でドルを買い戻す動きが出て、円相場が一時1ドル=98円70銭まで円安に振れたことも、株価を下支えした。
ただ、米デフォルト危機回避には上下両院が同一の債務上限引き上げ法案を可決し、オバマ大統領が署名し、成立させる必要がある。米上院与野党が17日に合意しても、共和党が多数を握る下院での審議が残り、17日のデフォルト危機回避期限に向けて情勢が再び緊迫する可能性がある。
このため、市場では「(下院共和党の出方次第でどうなるか分からず)依然としてデフォルトリスクはある」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)と警戒感が消えていない。【山口知、ワシントン平地修】