米債務上限:協議難航でフィッチが米国債下げ方向で見直し
毎日新聞 2013年10月16日 11時16分
【ワシントン平地修】欧州系格付け会社フィッチ・レーティングスは15日、米国債の長期信用格付けについて、最上級の「AAA(トリプルエー)」から引き下げる方向で見直すと発表した。17日の期限を目前にしながらも、債務上限引き上げを巡る与野党の協議が難航していることを受けたもので、市場に影響を及ぼす恐れがある。フィッチはこれまで格付け見通しを「弱含み」としていた。
フィッチは「政治的な瀬戸際の対立が米国のデフォルト(債務不履行)のリスクを高めている」と指摘。国債の利払いや償還のほかに、職員の給与支払いや社会保障給付が滞った場合も、「米国の支払い能力の信用性や経済に対する打撃になる」と警告した。
また、上限引き上げを巡る交渉の長期化は、ドルの信認を損なう恐れがあるとしている。上限問題を巡る今後の推移を見ながら、格下げを検討していく方針だ。
米国債を巡っては、2011年8月に同様に債務上限引き上げ問題を巡って与野党が対立し、デフォルト寸前に陥った際に、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が格下げを決定。米国は史上初めて最上位の格付けを失った経緯がある。