イタリア:ナチス戦犯葬儀でデモ隊と極右が衝突
毎日新聞 2013年10月16日 13時24分(最終更新 10月16日 14時33分)
【ローマ福島良典】第二次大戦中のイタリアでユダヤ人虐殺に関与したナチス戦犯のエーリヒ・プリーブケ受刑者が11日に死去し、ローマ郊外で15日に行われた葬儀が中断される異例の事態となった。葬儀に反発するデモ隊が抗議行動を繰り広げ、一部が極右グループと衝突した。
プリーブケ受刑者はローマで死去。100歳だった。ナチス親衛隊将校時代の1944年3月にユダヤ人ら335人の殺害に関与した罪で1998年に終身刑判決を受けたが、高齢と体調不良のためローマの弁護士宅で軟禁下に置かれていた。
ANSA通信などによると、ローマの南東約30キロに位置する町で、極右勢力に近いとされるキリスト教団体の施設に入ろうとする霊きゅう車にデモ隊が「人殺し」などと叫んで抗議。地元当局が極右グループの入場を禁じたため、葬儀が中断された。その後、極右グループとデモ隊の一部がもみ合いになり、警察当局が2人を拘束した。
遺体の扱いを巡ってはバチカンがローマのカトリック教会での葬儀を禁じ、ローマ市長も葬儀・埋葬を拒否。プリーブケ受刑者が戦後、ほぼ半世紀にわたって逃亡生活を送っていたアルゼンチンの政府が遺体の受け入れを拒み、出身地ドイツ北東部ヘニングスドルフも埋葬許可を出さない方針を表明していた。
このため、ユダヤ教との融和姿勢などのバチカン改革に反対してきた右翼キリスト教団体「聖ピオ10世会」が葬儀の引き受けを申し出た。同団体は、極右勢力とのつながりや反ユダヤ主義の傾向が指摘され、バチカンに認められていない。