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再生エネ買い取り制、早くも岐路に 膨れあがる消費者負担

(2/2ページ)
2013/10/15 7:00
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 彼らの視点を日本に持ち込めばどうなるか。去年から始まった再生エネの買い取り制度は、割高な再生電源の普及を促すために、電力ユーザーがその割高分を「賦課金」として負担する制度。この総額が経産省の見込みでは2013年度に3000億円を上回り、これが私たちの電力料金に上乗せされる。

■太陽光発電が全体の95%

全量買い取り制度による初年度の設備認定実績と実稼働設備
設備認定
(万キロ
ワット)
稼働設備
(万キロ
ワット)
年度内
実行率
(%)
住宅用太陽光134.2126.995
非住宅用太陽光1868.170.64
風力79.86.38
中小水力7.10.46
バイオマス19.43.619
地熱0.40.125
合計2109207.910

(注)13年3月末時点、資源エネルギー庁まとめ(実行率は公表数値から計算)

 制度開始前には当時の海江田万里経済産業相が「2020年に賦課金の総額が4900億円になる見込み」と表明していたが、初年度が終わった段階で早くもその6割に達した。再生エネの普及は喜ぶべきことかもしれないが、今後どこまで膨らむか天井が設定されておらず、ツケを回される電力ユーザーの立場からすれば不安でもある。

 さらに、問題なのは、買い取り制が図らずも政府による「勝者選び(ウィナー・ピックアップ)」になってしまったことだ。今年3月までの設備認定ベースでみると、太陽光発電が全体の95%を占め、風力や地熱を圧倒した。太陽電池メーカーは特需に大喜びしているが、ソーラー偏重が日本にとって望ましい道なのか。太陽光は環境アセスなどが不要で手っ取り早く導入できるが、一方で発電量が安定せず、それを補うバックアップ電源が必要などの弱点も大きい。

 政府の総合資源エネルギー調査会でも、買い取り制に対して批判的な意見も出されている。プリンス名誉教授らは「政府が上から消費者に『この電源を使え』と押しつけてもうまくいかず、どこかで破綻する」という。日本の買い取り制もやはりひずみを内蔵しており、近いうちに見直し論議が浮上することになるだろう。

(編集委員 西條都夫)

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