選挙:天理市長選 あす告示 12年ぶり新リーダー選択 山積する課題 /奈良
毎日新聞 2013年10月12日 地方版
◇3新人出馬予定
任期満了に伴う天理市長選は13日、告示される。投開票は20日。元外務省職員の並河健氏(34)▽前県議の藤本昭広氏(67)▽元市商工会専務理事の沢田昌久氏(57)=自民推薦=の無所属新人3人が立候補の準備を進めている。3期務めた南佳策市長(76)は引退を表明しており、12年ぶりの新リーダーを決める選挙となる。市政の課題を探った。【熊谷仁志】
■減少する寄付金
宗教名を都市名にした天理市。天理教とは「共存共栄」を目指してきた。しかし、1967年の覚書に基づき、多い時に年40億円を超えた天理教からの寄付金は減少が続く。
17年続いた15億円が、2006年度に13億5000万円に減り、08〜11年度は13億円になった。さらに、12年度11億2000万円、今年度10億2000万円と減っている。
南市長は6月議会で、天理教の財政状況が減少の一因という考えを示し、下限の設定などを提案していることを明らかにした。「天理教本部あっての天理市」(南市長)。時代の変化に対応した新たな関係をどう構築するか。大きな課題だ。
■厳しさ増す財政
財政の硬直度を示す指標・経常収支比率は11年度決算で99・6%(全国平均90・3%)で、県内39市町村でワースト2位。12年度は100・5%と更に悪化し、ワーストワンになった。経常収支比率の計算では、天理教からの寄付金が収入に算入できず、数値が高くなる傾向はある。
天理教の寄付は、公共施設や下水道など都市基盤整備に大きく貢献した。周辺自治体より充実した都市基盤があるがゆえに、逆に維持・管理費がかさみ、財政を圧迫している。
その一例が公民館数(分館含む)。国がまとめた11年度の「公共施設状況」では、天理市は58カ所(専任職員32人)で人口が天理より多い隣の大和郡山市の9カ所(同5人)を大きく上回る。数だけなら奈良市の52より多い。
財政圧迫要因は他にもある。土地開発公社解散と赤字経営の市立病院廃院の経費捻出に「第三セクター等改革推進債」(三セク債)を活用する。時期は1年ずれるが、発行額は計約40億円。いずれも10年で償還(返済)する方針だ。長年の懸案を解決する形だが、年4億円程度の負担が10年前後続く。
■家庭ごみ有料化