毎日新聞 10月16日(水)9時35分配信
◇横浜に恩返し
10月8日、今季最終戦。現役最後の試合となりました。最終戦ということもあり、横浜スタジアムは超満員の最高の雰囲気。グラウンドから見るスタンドの様子は、圧巻の光景でした。そんな中で、先発で出場させていただき、2本のホームラン。自分でも信じられないほどの劇的な展開に、その日は試合が終わってからも、ずっと夢の中にいるような気持ちでした。
出身は横浜市保土ケ谷区。神奈川で野球をしてきた者にとって横浜スタジアムは特別な場所、まさに憧れの聖地です。小さい頃は大会で勝ち進むと準決勝や決勝などで試合ができる特別な場所でした。自分が初めてプレーしたのは、中本牧リトルシニアにいた中学生の頃だったと思います。「プロはこんなに大きな場所でプレーしているんだ!」と圧倒されたことを覚えています。
甲子園春夏連覇した横浜高校では、神奈川大会で満員の中、試合をしました。成長するにつれて、徐々にスタジアムの大きさに驚かなくなり、身近な存在に感じるようになるのと同時に、自分もプロ野球選手への夢に少しずつ近づいていった。そんな印象を持っています。
その横浜スタジアムで、15年間の現役生活を締めくくることができた。本当に幸せなことだと思います。試合中は、これまでの野球人生のさまざまなことを思い出していました。思えば、プロ初出場も初安打も初本塁打も横浜スタジアムでした。でも、そういう時はうれしい思い出より、つらかったこと、悔しかったことの方が思い出すものですね。本当にいろいろなことがあった15年間でしたが、よくこれまで続けることができた、そんなことを思いながらプレーしていました。
最後にグラウンドで横浜高校出身の多村さん、後藤、荒波、石川の5名で記念写真を撮影しました。試合前から、同級生の後藤が「最後にグラウンドで写真を撮ろう」と声をかけてくれていました。現在、ベイスターズにはファームを含めると8名の横浜高校出身者が所属しています。こうして並ぶ選手たちを見て、自分も野球の盛んな横浜で育てていただいたからこそ、プロ野球選手としてこれまでやってこられたのだと感じていました。
最高の引退試合となりましたが、いつまでも感傷に浸っているわけにはいきません。来季はコーチとしてベイスターズに携わることが決まっています。現在も、若手主体の教育リーグが開催されている宮崎県にコーチとして来ています。今後は指導者として、自分の力をしっかり発揮できる強い芯を持った選手を育てていきたい、そんな夢を持っています。自分を育ててくれた横浜に、今度は自分が恩返しをする番だと思っています。
◇小池正晃(こいけ・まさあき)
1980年生まれ。背番号8、外野手。身長182センチ、体重88キロ。右投げ右打ち。横浜高時代の98年、外野手として松坂大輔選手(米大リーグ・メッツ)、後藤武敏選手(横浜DeNA)らと甲子園春夏連覇を達成。98年ドラフト6位で横浜に入団。08年に中日に移籍し11年まで在籍。12年から横浜DeNAに戻った。05、06年に2年連続でリーグ最多犠打。今季限りで現役引退しコーチに。通算成績は810試合、打率2割4分3厘、55本塁打。33歳。
最終更新:10月16日(水)9時50分
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