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政治
【阿比留瑠比の極言御免】「慰安婦謝罪」の意外な真相
それならばなぜ、6年前の共同記者会見で大統領は「謝罪を受け入れる」と述べたのか。その後、首相本人を含む複数の関係者に取材して判明した事実は意外なものだった。首脳会談の冒頭で、大統領からこんな申し出があったのだ。
「ミスターアベ、きょうは慰安婦問題と米国産牛肉の対日輸出の件は、話をしたことにしておこう」
つまり、双方にとって難しい話題は実際は避けながら、対外的には協議した形をとりたいというわけだ。結局、慰安婦問題は話題にしなかったのに、質問を受けた大統領が適当に話を合わせようとして「なぜか『謝罪』と言っちゃった」(政府筋)のが真相だ。
大統領は18年11月、ベトナムで日米韓3カ国首脳会談が行われた際にも事前に首相にこう持ちかけた。
「面倒だから、盧武鉉韓国大統領とは朝鮮半島の話はしないでおこう」
盧大統領と朝鮮半島情勢を議論すると、すぐに歴史問題を持ち出して対日批判を展開するので大統領はへきえきして避けたのだろう。首脳会談の機微を示すエピソードだ。
こうした事情と外交的配慮もあってか、政府が今月17日に閣議決定した19年4月の日米首脳会談に関する答弁書は「ややこしい書きぶり」(首相周辺)だ。
首相が慰安婦問題で大統領に謝罪や釈明をしたとは一切認めない一方、公式には「話をした」ことになっているため、「説明」は行ったことにした。その内容については、共同記者会見での首相発言(つまり議会での言葉)を引用した。
以上、経緯を反省を込め記した。ともあれ、首相がいくら否定しても米大統領に「謝った」「屈服した」と信じたがる人が少なくないのは、日本人の対米認識・感情を考える上で興味深い。(政治部編集委員)
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