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山田さんは、昭和46年にデザイナーとして任天堂に入社。以来、さまざまな玩具のデザインを手掛け、なんと初期型ファミコンのパッケージも山田さんの手によるものだという。そしてもちろん、トランプのデザインも担当してきた。そのうちのいくつかは、現在でも手にすることができる。 「デザイナーとしては、トランプにむいているのは天地のない裏柄だと思っていました。だから、図案をパターン化したような裏柄を考えていましたね」と語る山田さん。なるほど、上から見ても下から見ても同じ柄なら、トランプを切ったあとで天地がゴチャゴチャになっても見た目がキレイだ。あの、トランプ独特の裏の模様には、そんなヒミツもあったのね。もっとも、マリオなどのキャラクターを使った、天地のある裏柄のトランプもあるみたいだけどネッ。 「あと、やっぱり裏の話なんだけど、白いフチのあるデザインが好ましいんですよ。というのはね、まず、カードを扇状に開いたりしたときに、白いフチがあれば、何枚あるのか分かりやすいでしょう? それと、色の差が分かりにくいという効果もあるんです。印刷の段階などで、どうしてもカードごとに微妙な色の差が生まれてしまうんです。それを直接並べると、差が目立っちゃうんですよ」。白いフチがあるのは当たり前のように思っていたけど、そんな効果があったなんて〜。「でも、デザイナー的には、カードが小さく見えて、あまり好ましくなかったんですけどね、白フチは」。ということで……かどうかは分からないけど、白フチのないカードも、探せばちゃーんとラインナップされている。 |
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「ホームページのほうで解説してるでしょ?」と山田さん。確かに任天堂ホームページ本編のほうに、プレイングカードのコーナーが設けられていて、そこに掲載されているんだけど……そこを見るのはNOMを読み終わってからにしてネ! まあ、重複するかもしれないけど、ココでもおさらいしておこう。 トランプ発祥の地については、いろいろな説があるんだけど、東洋で発生し、ヨーロッパに渡って発展していったと見られているんだ。その起源は、インドで使われた“タロット”という占い用具。それがタロットカードとなり、西洋でトランプというかたちになったらしい。現在のモノに近いトランプは、14世紀後半に、ヨーロッパ各国に登場したんだって。国や時代によって絵柄や枚数など、いろいろなバリエーションがあったみたいだよ。スペードやハートなどのマークも、ここらへんから生まれたものなんだ。 ここで、リコ編が任天堂のひとに教えてもらった豆知識を紹介しておこう。トランプのマークって、スペードとハート、ダイヤにクローバーって覚えているひと、いるんじゃないかな? ところが、クローバーというのは間違いで、あれはクラブなんだって。なぜなら、あれは棍棒を図案化したものだから。農民の象徴らしいよ。ちなみに、スペードは剣をあらわし、王族や軍を象徴。ハートは盃で僧職を、ダイヤは貨幣で商人を象徴してるんだってさ。なるほど、中世のヨーロッパっぽいよね。 そういえば、山田さんの調べたところによると、こんな話もある。ダイヤのキングって横向きだって気づいてた? これは、ダイヤのキングのモデルがジュリアス・シーザーで、金に対して執着心の強いひとだったので、終始ダイヤをにらんでいるのだという説があるんだって。それと、ローマ帝国時代、コインの絵柄にシーザーの肖像が使われていたんだけど、それが横向きだったんだとか。 また、スペードのエースが大きいのにも理由があるらしい。18世紀の英国で、トランプに税金がかけられることになり、一番上のカードにスタンプを押すように法令で定められたんだって。一番上のカードとしてはスペードのエースが選ばれ、マークに王冠装飾のデザインをほどこすことと、と製造会社名とを入れることが義務づけられ、結果として大きくなっちゃったワケだ。当時は、スペードのエースを関税エースと呼んでいたらしいよ。 |
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任天堂では、オリジナルトランプの製作も請け負っているのだ。「企業のノベルティーグッズとしての発注が多いですね。とにかくたくさん作ってきましたが、印象的なのはJALのものかな。裏柄に、ロープの結びめを図案化したものをとり入れたデザインだったと思います。裏柄だけでなく、ジョーカーなどの表側もオリジナルのデザインにすることができるんですよ」。 企業だけでなく、結婚式の引き出物などとして、個人からの依頼もあるとか。NOMでもみんなへのプレゼント用に、そのうちオリジナルトランプでもオーダーしてみようかな? |
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山田さんはNOMのために、面白い“変わり種”トランプを何種類か用意してくれていたんだ。「まず、コレは『シャルマントランプ』といって、誰にでも、キレイな扇形に開くことができるトランプなんです。滑りやすい特殊加工がしてあってね。昭和51年ごろに発売されたものですね。コレも年季入ってるんで、なかなかウマく開きませんが……うーん、もともとちょっと訓練は必要なんですヨ」。見ると、裏柄には鎖がデザインされている。山田さんがキレイに開くと、この鎖が扇形全体につながって見えて、イイ感じだったヨ。 「それからこれは『魔法のトランプ』。なんでもないトランプに見えるでしょ? でもね、表が透視できちゃうんですよ。やってみましょうか? アレ、ちょっと分かりにくいかな!? う〜ん、分かってきたぞ、ダイヤの10でしょ? ホラ、当たった!」。リコ編もやってみたのだが……不思議だ! 付属のサングラスをかけると、裏柄にマークと数字とが浮かび上がるのだ。サングラスにしかけがあるのか、トランプにしかけがあるのか……(両方だとは思うけどネ)。 「あと、持ってきてないけど『ミラクルボックス』なんてのもありましたね。箱のなかのトランプから、お客さんに好きなものを1枚取ってもらい、確認後にそれを戻してもらう。すると、その1枚だけが浮き上がってくるって手品ができるんです。タネあかしはねぇ、ヒントは、トランプのカットの仕方なんですけどね。あんまり言っちゃうと面白くないかな? トランプってふつうは長方形でしょう? それをちょっと、ホンのわずか台形になるようにカットしているんです」。それがいったい、どうやれば1枚だけ浮き上がってくるようになるのか……。それはみんなで考えてみてね。 「最近ですと、ちょっと前に『クリンスルートランプ』ってのもあったんです」。『クリンスルートランプ』は透明なシートのうえに絵柄を印刷したトランプ。ウマいぐあいにデザインされていて、マークや数字は透けない印刷部分に配置されている。プレゼントなどに好評だったって話だよ。 |
▼トランプについて教えて!! ▼トランプ以外についても教えて!! 〜花札、株札、サイコロなど〜 |
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