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被害者の拡大が続く中でカネボウが美白化粧品を投入

ダイヤモンド・オンライン 2013/10/15 08:30 週刊ダイヤモンド編集部

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美白化粧品による白斑の被害者は今なお増加しているPhoto by Tatsuya Noguchi

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 美白化粧品で肌がまだらに白くなる白斑のトラブルを起こしているカネボウ化粧品が、早くも11月に美白化粧品の新製品を投入することが週刊ダイヤモンドの調べでわかった。

 11月に発売するのは、スキンケア化粧品「トワニー」「インプレス」など、自主回収した美白化粧品8ブランド54商品の代替商品。一部のブランドは統廃合するが、大半の商品は順次、代替の美白化粧品を発売していく予定だ。自主回収した中では最大のブランドである「ブランシールスペリア」については再発売に失敗した場合の影響の大きさを考えて、来年以降の発売となった。

 こうした動きに対し、「早過ぎる発売だし、問題が多い」(業界他社の幹部)と批判が上がっている。

 まず、顧客からの問い合わせが減少しつつあるとはいえ、被害者は今も増加し続けている。トラブルを認識して自主回収を発表したのが7月4日であり、8月末の1週間でも数千件の問い合わせがあった。まだ被害は沈静化したとはいえないというのが、業界他社の見方だ。

 しかし、カネボウは9月11日に外部専門家による第三者委員会の報告書を発表しており、一部の被害者には賠償金の支払いを始めたことで、「経営陣は、みそぎの期間は終わりつつあるという認識を持っている」(カネボウ関係者)というからあきれるしかない。

 それを証明するように、9月8日にはメーキャップ化粧品「ケイト」のテレビコマーシャル(CM)放映を開始している。9月11日の記者会見で、夏坂真澄・カネボウ社長は「流通(販売店)のほうから商品が置き去りになっているとの指摘もあり、CMを再開した」とコメントしており、後で社内の失笑を買った。

 あるカネボウ関係者は「今の経営陣は、販売店の顔色ばかりうかがい、顧客をまったく見ていない」と心配する。

● 新商品なのに「使い古し」

 もう一つの問題が、11月以降に投入する新商品が、「使い古された商品」ということだ。

 カネボウはかねてビタミンCなどの美白成分を使った化粧品を多数発売してきた。そのうち古くなって販売中止となったが、承認が残るものを復活させるのだ。法律上の問題はないが、効き目が弱いことが多い過去の商品をあえて発売しようとする化粧品メーカーはほかにはない。

 そもそもトラブルの原因であるロドデノールという成分は、厚生労働省が承認した医薬部外品だった。それだけに、カネボウが過去に承認を受けた化粧品は、他社の製品に比べて信頼性が低いと消費者から見られかねず、「消費者の反発を受けやすい」(業界他社の幹部)。万が一、トラブルが再び発生すれば、他社を含めたすべての美白化粧品は信頼を失うだろう。

 カネボウの化粧品の売れ行きは、「店頭ベースで、(前年同月比)20%ぐらい減少」(夏坂社長)という危機的な状況だ。しかし、このまま無反省に美白化粧品を発売することになれば、消費者からの信頼を失いかねない。カネボウは存続を懸けた危険な賭けに出ようとしている。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

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