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所信表明演説―1強のおごりはないか

長い休みをへて、きのう臨時国会がようやく開会した。7月の参院選で衆参両院の「ねじれ」が解消してから初の本格論戦の舞台だ。成長戦略の実行、福島第一原発の汚染水対策、環太平[記事全文]

診療所火災―動けぬ患者を救うには

また、安全規制の網からこぼれた施設が炎に襲われた。近年大きな犠牲を出した火災は、最新の設備や厳しい基準に守られた大規模施設ではなく、繁華街の雑居ビルや小さなホテル、グル[記事全文]

所信表明演説―1強のおごりはないか

 長い休みをへて、きのう臨時国会がようやく開会した。

 7月の参院選で衆参両院の「ねじれ」が解消してから初の本格論戦の舞台だ。成長戦略の実行、福島第一原発の汚染水対策、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への取り組み。議論を尽くすべき課題は多い。

 それなのに、その幕開けとなった安倍首相の所信表明演説は、拍子抜けするほど素っ気ないものだった。各党とまともに議論する気があるのかどうか、疑わしい。

 首相がいま最も力を入れているのは、消費税率引き上げに伴う成長戦略だ。演説では「起業・創業の精神に満ちあふれた国を取り戻すこと。若者が活躍し、女性が輝く社会を創りあげること。これこそが私の成長戦略です」と打ち上げた。

 ただ、具体策となると「企業実証特例制度」をつくるほか、今後3年間を「集中投資促進期間」として税制や規制改革など「あらゆる施策を総動員する」というぐらいだ。

 汚染水漏れには「国が前面に立って、責任を果たす」。TPP交渉では「攻めるべきは攻め、守るべきは守り、アジア・太平洋の新たな経済秩序づくりに貢献する」というだけだ。

 「知る権利」との関係が焦点となっている「特定秘密保護法案」には一言も触れなかった。

 首相は就任直後の通常国会での演説では、「丁寧な対話を心がけながら、真摯(しんし)に国政運営にあたっていくことを誓います」と強調していた。

 ところが今回は、参院選で自公両党を支持した国民への感謝はあっても、野党との熟議による合意形成を求める言葉は消え失せた。あまりにも現金な態度ではないか。

 会期は53日間しかない。このなかで政権が成立をめざすのは、前国会で廃案になった電気事業法改正案をはじめ、産業競争力強化法案、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案、議員立法の国民投票法改正案など盛りだくさんだ。

 短期間をいいことに、政権側が重要法案をスピード審議で乗り切ろうとしているのなら、考え違いだ。

 両院を制し、衆院では3分の2を占める圧倒的な与党だからこそ、いっそう丁寧な国会運営が求められる。

 首相が演説で強調したように、政策を前に進めることには賛成だ。だが、国民が増税などの痛みを強いられるなか、権力が集中する「1強」のおごりが見えるようでは、信は失われるだろう。

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診療所火災―動けぬ患者を救うには

 また、安全規制の網からこぼれた施設が炎に襲われた。

 近年大きな犠牲を出した火災は、最新の設備や厳しい基準に守られた大規模施設ではなく、繁華街の雑居ビルや小さなホテル、グループホームのような高齢者向け施設で起きてきた。

 70〜80代の高齢者ばかり10人が亡くなった福岡市の安部整形外科も、病床が19床しかない有床診療所だった。

 こうした診療所には高齢の長期入院者が多い。満足に動けぬ状態で大病院から転院してきた人もいて、自力避難は難しい。整形外科はなおさらだ。福祉施設と似た危険をはらんでおり、初期消火が生死をわける。

 ところが、有床診療所は延べ床面積が6千平方メートル以上ないとスプリンクラーをつける義務がない。この診療所を含め、多くの施設は基準未満という。自己費用でつけようとして、業者に「二、三千万円かかる」と言われて断念した診療所もある。

 認知症の人らが暮らすグループホームなどには、度重なる火災をうけ、基準未満の施設でもスプリンクラーの補助金が出るようになった。今後さらに全施設に設置を義務づける方針だ。

 入院患者をうけいれる診療所にも、規模の大小を問わず、費用を助成したうえで設置を義務づけるべきではないか。

 今回の火災は防火扉が閉まらず、階段が「煙突」となって煙が上階に回り、多くの犠牲者が出る原因になった。防火扉が閉まらなかった原因を検証するとともに、実際に作動するか日ごろから点検する仕組みを急いで整える必要がある。

 そのうえで、旧式の防火扉の更新を急ぐべきだ。火元とみられる1階の防火扉は、古い熱感知式だった。仮に作動しても、炎より速い煙を防げないといわれ、今は煙感知式に切りかえられている。だが、古い建物には熱感知式が残っている。

 この診療所には、避難誘導や通報、初期消火にあたる当直は1人しかいなかった。これも多くの診療所に共通する課題だ。

 設備や当直の人手が貧弱な背景には経営難がある、と有床診療所の団体は訴える。この20年で施設数が半減していることからも、それはうかがえる。

 そんななか、ハード、ソフト両面で安全をどう担保するか。消防や自治体が日ごろから相談に乗る体制を整えてほしい。

 命を預かる以上、コストは言い訳にならない。しかし、この火災が高齢化の進む社会の弱点をあぶり出したのだとすれば、その克服は社会全体の課題でもあるだろう。

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