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アルミホイルは光る面が表?

宮崎県・広末昇子(ひろすえしょうこ)さん(43)からの質問(朝日新聞社発行 2012年2月4日付be)

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 ●光り方(かた)は違(ちが)うけど表裏(おもてうら)はないの

 ◇ののちゃん 台所(だいどころ)でお手伝(てつだ)いしてて、ふと不思議(ふしぎ)に思ったんだけど、ラップには表裏(おもてうら)はないのに、なぜアルミホイルにはあるの?

 ◆藤原先生 あら、アルミホイルにも表も裏もないわよ。どっちの面(めん)でも好きなように使えばいいの。

 ◇のの あれ、そうなの。ピカピカの面が表かと思ってたけど……。

 ◆先生 光る面は、表面がツルツルなので鏡(かがみ)みたいだけど、反対の面には、目には見えない小さな凸凹(でこぼこ)があって光をバラバラの方向に反射(はんしゃ)してしまうので、光らないのよ。

 ◇のの 表裏はないというのに、なぜそんな違(ちが)いがあるの?

 ◆先生 順番(じゅんばん)に説明(せつめい)しましょう。アルミは「圧延(あつえん)」という方法(ほうほう)で薄(うす)く延(の)ばすの。おソバの生地(きじ)を棒(ぼう)を転(ころ)がしながら押(お)さえて延ばすのと同じ。アルミの場合は、棒のかわりに鉄(てつ)の円柱(えんちゅう)「ロール」を2本使うの。

 ◇のの ロールケーキのロール?

 ◆先生 いい勘(かん)ね! 2本のロールがアルミの板を強(つよ)くはさみながら回転(かいてん)すると、アルミは薄く延ばされて反対側(がわ)から出てくるの。この作業(さぎょう)をくり返してより薄い「箔(はく)」、英語でいう「ホイル」をつくるわけ。この時の箔は両(りょう)面とも光ってるのよ。

 ◇のの なぜなの?

 ◆先生 鉄製ロールの硬(かた)くてツルツルの面に両側から強くはさまれると、軟(やわ)らかいアルミの両面もツルツルになるから。アイロンをかけられたみたいにね。お弁当(べんとう)のおかず用カップや、食材(しょくざい)つきの鍋(なべ)などのアルミ箔は、両面とも光ってるでしょ。

 ◇のの たしかに、そうだね!

 ◆先生 でも、ロールがアルミをはさむ力を強めれば、いくらでも箔を薄くできるかというと、それは無理(むり)なの。ロールがゆがんだりしてしまうから。台所用の箔は厚(あつ)みが0・011ミリほどで、このあたりが限界(げんかい)。でも実際(じっさい)は、さらにその半分の薄さの箔だってつくられているのよ。

 ◇のの へえ、どうやるの?

 ◆先生 薄い箔でも、2枚(まい)重(かさ)ねて厚くしてからロールにかければ、もっと薄くできるの。それに、台所用の箔の厚みなら1枚のままで可能(かのう)かもしれないけど、2枚重ねて圧延すれば箔の生産量(せいさんりょう)が2倍になるでしょ。

 ◇のの そういう理由(りゆう)もあるのね。

 ◆先生 そして、2枚重ねだとアルミ箔どうしが接(せっ)する面ができるでしょ。そこでは圧延のとき軟らかいアルミどうしが押し合うので、面が変形して細かな凸凹ができるわけよ。

 ◇のの それで台所のホイルには光らない面があるんだね! ところで、台所以外ではアルミ箔ってあまり目立たないような……。

 ◆先生 光や湿気(しっけ)、空気を通さないから、菓子(かし)の袋(ふくろ)や飲(の)み物の紙容器(ようき)の内面、薬(くすり)の錠剤(じょうざい)の包装(ほうそう)などに、また、軽(かる)くて電気(でんき)をよく通すから電気部品(でんきぶひん)にも利用されているよ。

 (取材協力=住軽アルミ箔・素箔技術室の佐藤真一郎副課長、真鍋彰さん、東海アルミ箔、構成=武居克明)

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