京都府八幡市の焼き肉チェーン店で牛の生レバーを生食用として客に提供したとして、府警は15日、店を運営する「丸中精肉店」(大阪市阿倍野区)社長の仲宗根(なかそね)孝之容疑者(53)=大阪市旭区新森5丁目=と、提供店の店長、白滝信彦容疑者(45)=大阪府枚方市東山1丁目=を食品衛生法違反(牛レバーの非加熱提供)の疑いで逮捕し、発表した。法人としての同社も同容疑で書類送検する。
厚生労働省が昨年7月、牛のレバーを生で提供することなどを禁止して以降、摘発は全国で初めて。調べに対し、仲宗根容疑者は「従業員が客には焼くよう説明していたはずだ」と容疑を否認、白滝容疑者は「社長と一緒に生レバーを提供した」と供述しているという。
府警生活経済課によると、2人は共謀して8月30日夜、八幡市の「焼肉牛宗(ぎゅうそう)まるなか京都男山店」で、高校生を含む客9人に牛の生レバーを提供した疑いがある。食事後、4人が嘔吐(おうと)や発熱などの症状を訴え、このうち高校生1人から「カンピロバクター菌」が検出された。高校生は約1週間入院、府山城北保健所の調査に「生レバーを食べた」と話したため発覚した。同保健所は食中毒の原因を特定していないが、府警はすでに同店などを捜索し、生レバーの提供行為を確認したという。
丸中精肉店のホームページによると、同社は大阪市阿倍野区阪南町3丁目に本店があり、焼き肉店は八幡市のほか同区と枚方市の計3店舗経営。府警は八幡市以外の店でも生レバーを提供した疑いがあるとみて調べている。