長澤まさみ演じる主人公の瀬戸カンナは、自分のせいで大切な人を亡くした……という心の傷を抱えながら生きているため、笑っていてもどこか悲しげ。「笑い顔が泣いているように見える人」というのは、いくえみ綾が描くカンナのイメージ。そこでプロデューサー陣の頭に浮かんだのは、『世界の中心で、愛をさけぶ』で純愛映画の王道ヒロインを演じ、最近では『モテキ』などで大人の女優としての存在感を放つ長澤まさみだった。
「いくえみ先生からも“演じていただけるのなら嬉しい”という言葉をいただきました。でも長澤さんは原作への愛が深すぎて、少し躊躇していたんですよね。本当に自分がカンナを演じきれるのか悩んでいると。でも、やっぱりチャレンジしてみたいということで引き受けてもらえました」(八尾)
そして、もう一人の主人公は、小学生の頃に一緒にいた女の子を事故で死なせてしまったという罪悪感を抱えながら生きている赤沢禄。キャスティングが難しかったが、二人のプロデューサー、そして新城監督からも信頼の厚い俳優・岡田将生に決定する。

「禄のほうがカンナより年上の設定ですから、単純に考えると長澤さんより年上の方が良かったのかもしれませんが、そうしなかったのは岡田さんの魅力。禄はカッコイイけど、ずけずけものを言う、一見ちょっと嫌なヤツなんです。でも愛嬌がある。大人っぽくもあり子供っぽくもあるけど、芯がある男性。そういったところが岡田さんと重なるというか。岡田さんはカッコよくて勿論スタイルも良いのですが、どこか普通の感覚も持っている稀有な俳優です。繊細さとやんちゃさが同居している独特の魅力で禄を演じたらカッコイイだろうなと思ったんです」(八尾)
漫画など原作ものの映画化は、時に、読者のイメージを壊すこともあるかもしれない。けれども、「見た目や雰囲気よりも、キャラクターをちゃんと受け継いで世界観を持ち続けられる人。カンナと禄の中身を表現できる人にしたい」(畠山)という思いから、今回のキャスティングに決定した。