防衛省は9日深夜、大阪府吹田市の万博記念公園で地対空誘導弾「パトリオット3(PAC3)」の展開訓練を実施した。PAC3は北朝鮮の弾道ミサイル発射などに備えた防衛手段。自衛隊の施設外での展開訓練は、東京都以外では初めてという。
政府が「弾道ミサイルなどが日本に飛来する恐れがある」と判断し、自衛隊法に基づく破壊措置命令を閣議決定すると、PAC3による防護地域と展開地が決まる。極めて緊急性が高い状況では、防衛相の判断で破壊措置命令を出す場合もある。命令後に速やかに迎撃態勢をとるため、自衛隊の施設外では2010年4月に新宿御苑、12年10月に葛西臨海公園で訓練が実施されていた。
9日は万博記念公園の閉園後、航空自衛隊白山分屯基地(津市)に配備されたPAC3の発射機やレーダーなどが日本庭園前の駐車場に運びこまれ、隊員約50人が迎撃態勢をとる訓練にあたった。防衛省航空幕僚監部の広報担当者は「自衛隊の施設内と同様、特定の状況を想定した訓練ではない。今後も自治体の理解を得ながら施設外での訓練を重ねたい」としている。(武田肇)