人気アニメ「それいけ！アンパンマン」を手がけた漫画家で絵本作家のやなせたかし（本名・柳瀬嵩＝やなせ・たかし）さんが１３日午前３時８分、心不全のため死去した。９４歳だった。葬儀は関係者のみで営んだ。後日、偲（しの）ぶ会を開く予定。

　高知県在所村（現香美市）出身。東京高等工芸学校（現千葉大工学部）図案科卒。野戦重砲兵として出征し、中国で終戦を迎えた。戦後は高知新聞に勤め、三越で包装紙制作などを手がけた後、フリーに。１９６１年にいずみたく作曲の「手のひらを太陽に」を作詞。７３年、月刊誌「詩とメルヘン」を創刊（後に休刊）し、多くの詩人やイラストレーターを世に送り出した。

　同年、月刊絵本「キンダーおはなしえほん」（フレーベル館）でアンパンマンの掲載がスタート。アンパンマンシリーズは徐々に人気を呼び、８８年にテレビアニメ「それいけ！アンパンマン」が放送開始。アジア諸国でも放送され、子供たちの圧倒的な支持を集めた。２００９年には、ばいきんまんやドキンちゃんなど登場キャラクターが最も多いアニメとしてギネス世界記録に認定された。出身地の香美市など各地に「アンパンマンミュージアム」が建てられた。その仕事人生を「６０歳を過ぎてからの遅咲き」と笑っていた。

　アニメ映画「やさしいライオン」で毎日映画コンクール大藤信郎賞、「アンパンマン」で日本漫画家協会賞大賞。００年、日本児童文芸家協会児童文化功労賞。同年から務めていた日本漫画家協会理事長を高齢と体調不良のため昨年、辞任した。