2013年10月15日10時15分
【本田雅和】東京電力福島第一原発事故による健康被害の対策を政府から独立した立場の専門家やNGO(非政府組織)代表らが話し合う「市民科学者国際会議」が13日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで始まった。国内外の疫学研究者らは県内の小児甲状腺がん発生率の高さについて、これまでの国内平均値と比較して統計的有意差が認められる、と指摘、「今後の集団発生への予防的対策」の必要性を強調した。
● 国際会議で専門家、警告
元国会事故調査委員で医学博士の崎山比早子氏は「政府や県は公衆被曝(ひばく)限度の年間1ミリシーベルトを20ミリシーベルトに引き上げて旧避難指示区域に住民を帰そうとしている」と批判。放射線による健康被害はがんだけでなく、「心臓血管系疾患も線量に比例して増加するほか、細胞老化による様々な疾患をもたらす」と警告した。
米サウスカロライナ大のティモシー・ムソー教授(生物学)は、事故後に県内で観察を続けたツバメなど14種類の鳥類について「事故後の個体数減少率は、チェルノブイリの被災地より大きい」と報告。
また津田敏秀・岡山大教授(疫学)は「県内で現在確認されている小児甲状腺がんと放射線との関係が否定できない以上、予防原則に従って対策を立てるべきだ」と主張した。会議は放射線防護学、原子力工学、法学など様々な分野の専門家も加え、14日まで続く。(本田雅和)