モモ:福島の売り上げ回復「震災前より忙しい」
2013年08月22日
原発事故の影響で市場単価が震災前の半値以下に暴落した福島のモモが、今年は震災前年と同じかそれを上回る価格水準で売り上げを伸ばしている。JA関係者は「福島産モモへの信頼が回復した証拠」と胸をなで下ろし、「これを足がかりに、コメを含めた福島産品の風評をぬぐい去りたい」と期待する。
「全国から問い合わせ電話が鳴りっぱなしです」。福島市北矢野目のJA農産物直売所「ここら」で21日、贈答用モモの仕分けをしていたチーフの渡部久美子さんの表情はうれしそうだ。電話は「福島はモモの産地なのですか」という内容から、「贈答用の発送を」とまとまった注文まで。渡部さんは「震災前より忙しいです」と話す。
直売所を運営する「JA新ふくしま」によると、主力品種「あかつき」の青果市場での単価は、最盛期の盆前に震災前年に並び、上回る日も。天候などの影響で大玉が多く、出荷箱数も震災前年の約51万から今年は約65万に増えた。競合作物のブドウやナシの出荷が今年は早く、盆以降は市場価格が下落傾向だが、JA新ふくしまの担当者は「この単価下落は風評とは関係ない。福島産モモは着実に信頼を取り戻している」とアピールする。【栗田慎一】