福島 田村の避難指示 来春解除目指す10月14日 20時51分
東京電力福島第一原発から20キロ圏内にある福島県田村市の地区の避難指示の解除時期について、住民と国や市の担当者が意見を交わす会合が開かれ、来年春の解除を目指して住民側との話し合いを継続することになりました。
福島県田村市の都路地区の一部には、原発事故の翌日から政府による避難指示が出されていますが、ことし6月、政府が計画した除染作業が終わり、政府は、市や住民と協議をしたうえで避難指示の解除の時期を決めることにしています。
意見交換会は14日、田村市内で開かれ、住民およそ200人が出席しました。
冒頭、※冨塚宥ケイ市長は「これまでの経過を考えると、避難指示の解除は11月1日が望ましいと考えている」と述べ、赤羽経済産業副大臣も「国としても、市長の主張が適当と考えているが、皆さんの意見を聞いたうえで市側と相談して決めたい」と述べました。
このあと政府の担当者が、放射線量の平均値が除染前と比べて宅地で46%低くなっていることなどを説明しました。
一方、住民からは「場所によっては放射線量が高いところも多く、再び除染をしてもらえないと帰れない」とか、「汚染水問題など、福島第一原発で相次ぐトラブルが解決するまで帰還は無理だ」などと近い時期の解除に反対する意見が相次ぎました。
そして、話し合いの結果、来月1日に避難指示の解除はせず、来年春の解除を目指して住民側との話し合いを継続することになりました。
会合のあと田村市の冨塚市長は記者団に対し、今後の対応について「これから国側と協議しながら考えていきたい」と述べました。
会合のあと赤羽経済産業副大臣は記者団に対し、「避難指示解除の最初の事例となるので、引き続き、柔軟に対応していきたい。住む人たちのリスクをどれだけ取り除けるかが今後のポイントになると思う」と述べました。
また、赤羽副大臣は、住民の理解を得たかどうかどのように判断するのかという質問に対し、「住民の理解が得られたかどうかは、最終的には市長の判断だ」と述べました。
※「ケイ」は「日」へんに「景」
住民の声は…
意見交換会に参加した住民の坪井久夫さんは「除染が終わってもまだ放射線量が高いところがあるので、再除染の方向性などを明確に示してもらいたかった。考え方は人それぞれ違うのでしかたありませんが、自分の家に帰りたい気持ちはみんな同じなので、国は住民の声を聞いて、みんなが納得ができるようにしてもらいたい」と話していました。
また、1人暮らしの75歳の女性は「家の裏には山があって、今も放射線量が高いです。来年の春になっても帰れるとは思えないので、区域の解除には賛成できません。もう戻れないと思うので、災害住宅を整備してもらいたい」と話していました。
33歳の男性は「子どものことを優先して考えると、放射線量が高いところもありますし、きょうの説明だけではまだまだ帰れるとは言えません」と話していました。
また、77歳の女性は「避難指示はいずれは解除しないといけないことですが、市側も住民もそれぞれいろいろな考えがあると思うので、住民と市や国が話し合う機会をもっと持たないと話は進まない思います」と話していました。
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