福島第1原発:20キロ圏内で初の稲刈り「うまいコメを」
毎日新聞 2013年10月08日 11時05分(最終更新 10月08日 11時34分)
東京電力福島第1原発の20キロ圏内では事故後初となる稲刈りが8日、福島県田村市の都路(みやこじ)地区で始まった。「今年は暑かったし、ここは高地で寒暖があるから、おいしいのが取れるよ」。コンバインを操る農業、坪井久夫さん(63)、千賀子さん(60)夫妻は黄金色の穂に囲まれ、うれしさいっぱいだった。
見込みの収量は、ひとめぼれやチヨニシキなど12トン強。放射性物質の全袋検査をしたうえで、政府の備蓄米になるほか、事故前からなじみの関東の客にも直売する。「お客さんが田植えから稲刈りまで手伝ってくれたから、とにかくうまい米をという思いでやってきた」と久夫さん。
都路地区の20キロ圏は半数以上が専業、兼業農家。「避難指示解除準備区域」に再編され、今年6月に住居の除染が終了。8月にようやく長期宿泊が認められたが、宿泊しているのは全119世帯の2割ほど。米を収穫したのは坪井さんら3軒だけだった。市は、除染効果が確認されれば来年はさらに10軒は増えると期待している。【藤原章生】