魔王少年リリカルカンピオーネ (ヤギ3)
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最近、うまく話がまとまらない。

駄文注意です。今回。



第17話 狼との戦い

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「くらえっ!」

 稲妻を落とし、風の刃を飛ばし、水の槍を放つ。
 悪魔の兵が剣を振るい、槍を突き出し、馬で轢殺しようとする。
 だがそのことごとくをマルコシアスは踏み潰していった。
 強い。素直にそう思った。
 仕方ない『弓矢』を使おう。あとでロッテに怒られるが命には変えられない。
 僕は召喚の魔術で銃を呼び出す。

ドォォォォォォォン!

 赤い閃光が咆哮を上げながら漆黒の狼に向かって突進する。
 これにはさすがのマルコシアスも避けた。さすが致命傷は免れないと思ったのだろう。
 マルコシアスが避けた先に霧を展開する。
 いきなり視界が真っ白になったからか、マルコシアスが霧を振り払おうと暴れる。だが無駄だ。霧を振り払える存在なんか風ぐらいしかない。
 悪魔の権能を使い8メートルほどの刀身を持った大剣を呼び出す。その刀身にも霧をまとわせる。
 それの大剣を振り下ろす。

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 獣とも鳥とも取れるような甲高い悲鳴を上げる。
 その声を上げる魔物の体にはいくつもの斬られた様な傷があった。
 大剣の刀身を霧の権能で分断して、斬りつけたのだ。
 マルコシアスがひるんだ隙に空中に浮かんだ三刀と手に持った双剣を構えて、斬りかかる。

「ガアアアアアアアアアア!」

 単調で、知性など一切感じさせない咆哮と共に紅蓮の炎が吐き出される。

「くっ・・!」

 失念していた。
 マルコシアスはグリフォンと蛇の尾を持つ、炎を吐く狼だった。
 今の炎は直撃を避けることはできたが左手を焼かれた。剣を握ることすら辛い。左手はもう使えないと見ていいだろう。
 マルコシアスの能力は大体把握できた。巨大で強靭な肉体による近接戦と炎を飛ばす能力を用いて戦うらしい。実に単純だがその分威力はとてつもないことになっている。
 双剣をしまい、空中に浮かんでいる大通連を手にする。片手剣一本でもいいのだが、双剣に慣れすぎて、何も無い左手でガードしようとしてしまいそうだから避ける。

「グウアアアアアアアアアアアアア!」

 もはや聞きなれた咆哮とともに、3つの火球が襲いかかってくる。
 忘れていたが、コイツはすずかを殺そうとしたやつなのだ。そう考えるとふつふつと沈みかかっていた怒りがこみ上げてきた。
 だけどそれ以上に気になることがある。

―――――コイツは本当に『マルコシアス』なのか?

 どうにも僕にはこのマルコシアスが本物に思えなかった。
 マルコシアスといえば取引を行う召喚者に対してはとても誠実であり、すべての疑問に正しい回答をする72柱の中でも特に理性的な悪魔だったはずだ。
 だがコイツはどうだ。
 下品に喚き散らし、無差別に周りの物を破壊しているだけだ。
 違う。コイツはマルコシアスだが何かが違う。マルコシアスの皮をかぶった何かだ。
 僕はそう思い、大通連を脇に挟み、顕明連を持つ。

「我は智慧の化身を振るう者。朝の日を浴び、三千世界を見渡すもの。嗚呼、盗賊よ。知識の泉より湧き出る叡智を盗み取れ。」

 聖句を言い、顕明連の能力である霊視を行う。
 頭の中にひとつの映像が浮かび上がる。男が映っていた。アドルフとか言ったあの人間だ。彼に権能による稲妻が落ちる。その時彼の持っているメダルに変化が起こる。神力が溢れ出したのだ。なるほど、神力を含んだ稲妻に反応したか。よく見るとメダルにはマルコシアスの紋章が描かれている。メダルはマルコシアスにまつわる神具か。そして、男が狼に変わるさまを見る。
 なるほど、メダルを媒体にして近くにいる人間の肉体を再構築、マルコシアスに近い神獣を呼び出す神具か。しかも強さは神より少し弱い程度ときた。厄介なものを持ち込んでくれたな。もはや死んでいる男に対してそう罵倒の言葉を吐く。
 だがこれではっきりしたことがある。
 核はメダルだ。そのメダルを破壊すればいい。
 だが腐っても神具。そう簡単に壊れはしないだろう。念のため一番破壊力のある技をぶつけてやる。
 最大の破壊力を持つ力、『破壊』の力を呼び起こす。

「世界よ。怯え、畏れ、崇め奉れ。我は3つの都市を滅ぼすもの。我はこの世のすべてを破壊するもの。我が鉾が大地に突き刺さりし時こそこの世の終わりと悟れ!」

 実のところ『破壊』の力自体はそこまで派手なものではない。むしろ地味だ。なぜならたった1つの武器を召喚するだけなのだから。ただこの武器が恐ろしいのだ。
 先が3つに分かれた鉾。破壊神シヴァの持つ三叉戟『トリシューラ』だ。
 能力はその鉾に触れた自分以外のもの全てを破壊すること。
 脈絡がなくてすまないが『弓矢』の権能について少し説明しようと思う。『弓矢』は必ずしも媒体に銃を使う必要はなく、遠距離を攻撃する武器であるならなんだっていい。
―――――例えば投槍とかだ。
 トリシューラに残り3発分の力全てを乗せ、ついでに『暴風』の力で稲妻を纏わせる。

「ゴフッ。」

 口から鮮血が漏れる。
 ここまで力を行使することはカンピオーネである自分にとってもつらい作業だ。
 力に怯えてかマルコシアスが逃げ出そうとする。
 だが悪魔の権能で召喚した槍で足を縫い付ける。

「これで終わりだっ・・!」

 僕はその言葉と共にトリシューラを放った。
 天にまで響く雷鳴とともに、電撃を纏った槍は翼の生えた漆黒の狼を飲み込んだ。

―――――ズガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

 けたたましい音を立てながら魔獣と一緒にあたり一面の建築物も倒れていく。
 地面にヒビが入り、岩盤がめくれ、建物が崩れていく。
 半径50メートル。
 それが今回、建物の姿を瓦礫の山へと変えた範囲だ。
 ロッテから怒られそうだなぁ。
 僕は今回どれだけ被害を出したかより、そっちのほうが気になった。

「時空管理局です!あなたをロストロギア不法所持及び、管理外世界での魔法の使用の容疑で逮捕します!大人しく投降して下さい!」

 いきなり空から声が聞こえた。
 そこにいたのは高町なのはと八神はやて、そして峰岸龍馬と数人の男たちだ。
 みんな戦場には似つかわしくないコスプレに身を包んでいる。

「結城くん!?」
「何で結城くんがおるんや!?」
「というかなんでそんなボロボロに・・・。」

 なのは、はやて、龍馬の順で疑問を述べてくる。

「まずなのはの質問だけど僕は間違いなく逆月結城だ。はやての質問の答えは僕が当事者だから。最後に龍馬の質問に答えるなら今の今まで『マルコシアス』っていう怪物と戦っていたから。」
「つまり、今回の元凶はあんたや言うことやな。」
「まあそうだね。間違いじゃないよ。悪魔達が跋扈し、霧で包まれた異界を作り上げ、そこで戦闘と殺しを行い続けていたのは間違いなく僕だ。」
「なんでや・・・。なんでこんなことをしたんや!」

 肩を震わせながらはやてが問う。

「優しいね、はやては。僕のことを犯人だと認めたくないんだ?そしてそれ以上に僕が間違いを犯す状況を作った自分が許せないって顔だね。本当に優しいよ君たちは。」

 心の底からそう思う。
 普通なら、犯人である自分をクズだと言って魔術を放って捕縛するだけだ。
 だが彼女たちはその犯人に対しても真摯に向かい遇う。
 とても美しいあり方だと思う。危なっかしいほどに。
 だが、

「僕は捕まるわけには行かないんだよ。すずかも拾わなくちゃいけないし、何より僕のメンツもあるからね。魔王がたかが魔法を使えるだけの人間に負けちゃあいけないだろ?」

 そう言うと男たちは激昂した。
 自分たちにとって魔法はアイデンティティのようなものなのだろう。それを侮辱されて怒っているようだ。

「黙れっ!この犯罪者が!」
「貴様のような奴は我々管理局が正義の名のもとに断罪する。」
「おとなしく投降しろ!」
「はぁ。年下のなのはたちが我慢しているのに大人である君たちが我を忘れるなよ。」
「うるさい!この魔力なしの犯罪者が!」

 その言葉に、なのはたちは一斉に驚いた顔をする。だが男たちは気がつかない。この反応こそが才能、ひいては彼らの強さを教えてくれる。
 蟻が象の身長を測れないように、メダカが鯨の全長をわからないように、自分と比べ強大すぎてあるはずのものをないと認識してしまう。カンピオーネになってからしばしばあった光景だ。大きすぎる呪力を持つが故に呪力がないと勘違いされることは。

「君たち弱いね。悪いことは言わない。帰りな。手加減しても殺さないでいる自信がない。」
「き、貴様あああああああああああああああ!!!」

 男達は顔を真っ赤にしてこちらに魔力弾を飛ばしてきた。
 悪魔の騎士を召喚し、騎士たちの持っているシールドで防ぐ。
 一体の騎士から長槍を受け取る。
 その長槍にルドラの『暴風』の力で稲妻を纏わせ、

「うまくよけろよ。加減はできないからね。」

 稲妻の斬撃を放った。



自分の文才のなさが悲しい。


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