魔王少年リリカルカンピオーネ (ヤギ3)
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難産でした。

今回は特に文章が酷いと思います



第15話 悪魔の甘言

 俺はまだ気が付かなかった。
 あの時の俺と会話ができるのならばこう言いたい。
 「諦めろ」と。「馬鹿な真似はよせ」と。そして何より「あいつに逆らうな」と言いたい。
 俺は開けてしまったのだ。
 混沌を呼ぶ箱を。
 俺は、開けてはならない『パンドラの箱』を開けてしまったことにまだ気が付かない。




「やあ。まだ元気かい?・・・元気そうだね。よかった。もし君が死んでいたら僕はこの怒りをどこに向けたらいいのか悩むところだったからね。」

 僕はそんな軽口をたたきながら目の前の男を睨めつける。

「そろそろ僕の玩具を相手にするのも飽きただろう?だから次は僕と遊んでもらうよ。」

 僕はこの許しがたい罪人を『処刑』するための聖句を唱える。

「罪人よ。泣き、喚き、後悔しろ。我はその罪科に鉄槌を下すもの。主の法に背きし愚か者どもよ。汝らの血と肉を持ってその罪を洗い流すがいい!」

 ルドラの力の一つ『処刑』能力は拷問及び処刑用器具を召喚すること。
 その力を使い、僕は大量の車輪を呼び出す。
 それを間一髪のところで避けるアドルフ。

ズガガガガ!

 火花とともに背後の壁は脆く崩れ去る。
 その風景を見て顔面が蒼白になるアドルフ。
 「一歩間違えれば自分は挽き肉になっていた」とか考えているのだろう。精神衛生上あまりよろしくない想像ではある。
 顔を恐怖で歪めたアドルフに、ほんの僅かに愉悦を感じ唇が弧を描く。
 自分を殺してくる圧倒的強者。その存在が彼を恐怖させたのかみっともなく悲鳴を上げながら壊れた壁から逃げていく。
 だがまだだ。まだ足りない。この程度じゃ僕の『処刑』は終わらない。
 もっと恐怖を。もっと絶望を。
 そう思い僕は彼を逃がす。そして彼に聞こえるように大きな声で彼に声をかける。

「鬼ごっこかい!?いいね!僕が鬼だ!僕と僕の悪魔たちに見つからないよう、うまく隠れることだ!」

 さあ。命懸けの鬼ごっこの始まりだ。




 私たちは先程から電撃が放たれている場所に向かっていた。
 なのはたちは一際大きな魔力反応があるところに。私たちは戦闘を行っているであろう場所へ向かう。

「時空管理局執務官フェイト・T・ハラオウンです!武装を解除し、投降しなさい!」
「時空管理局!よかった助けてくれ!」
「え・・・?」

 そう懇願してきたのは強面の男たち。犯罪組織の人間で、

「罪ならいくらでも償うっ!だから・・・。」

ドォン!

「駄目だよ?君たちは管理局とやらの法じゃなくて王様の法で裁けって王様から言われているしさ。だから・・・」

 その懇願してきた人間の頭部が破裂する、

「君たちはみんな死刑みたいだよ?残念だったね?」

 そんな現状を作り出しているのは、最近仲良くなったばかりの友達だったからだ。




「あれ?フェイト?なんでこんなところにいるの?というかその服装何?こんなところ見られたくなかったんだけどなぁ…。」
「ロッテこそどうしてこんな所に・・・。いや、そんな事よりも、どうしてこんな事を!」
「どうしてって言われてもなぁ。王様の命令だし。彼、今マジギレしちゃって危険だからさ。私も彼の所有物としてそれなりに働かなきゃいけないし、ってところかな?」

 フェイトはどうやら唖然としているようだ。当然だろうなぁ。ほかの人から見たら狂気の沙汰だもん。私も普通の感性を持っているなら同じ表情をすると思う。だけど私はそんな物もう捨てちゃったんだよね。

「そんなふざけた理由で人を殺したのか!」

 フェイトの隣にいる赤毛のチビちゃんがそう言ってくる。いや、赤毛ちゃんだけじゃない。どうやら傍にいる青いワンちゃんや桃毛のお姉さんも似たようなことを思っている表情だ。・・・と言われてもなぁ。

「自覚はあるんだけどね?ほら、魔王たちの言うことは絶対じゃない?それに忠誠を誓っている相手だからね。働かないとさ?・・・死にたくないしね。」

 そう、死にたくないのだ。この状態の王様はどの王様よりもえげつない。
彼は苦しめるだけ苦しめてから相手が最も屈辱的だと思う殺し方をするような人だ。すぐに殺すようなヴォバン侯爵よりもたちが悪い。
 一回これと同じような状態になった時、相手の教会の人物は聖像と首が入れ替わっていて、その部下たちは串刺しにされて天井にぶら下がっていたことがあったようだ。
 さすがにそこまでしないとは思うが、刃向ったら殺されるんじゃないかとは思っても不思議じゃない状況だ。

「死にたくないから殺す。割と下品な理由だとは思ってるよ。だけどそうするしかないのさ。」
「だったら私たちに投降して。私たちが保護するから。」
「それも無理だね?私は彼に忠誠を誓っているから。ほら姿が変わっているだろう?これが忠誠の証。いやぁこれをかけられた時、ちょっと嬉しかったんだよ?気になっている殿方からかけられた『契約』なんだから。ずーっと隣にいてくれって言う内容のね?」

 顔が熱い。
 柄にもなく恥ずかしがっているようだ私は。・・・顔もリンゴみたいに赤いんだろうなぁ。

「彼にかけられた?魔法を?」
「魔法とは言いえて妙だね?さしずめ私は魔法をかけられたシンデレラって訳だ。ふふ、なかなかいいね。私はこれでも女の子だからね?お姫様には憧れるのさ。」
「あまりふざけるな。貴様は何者だ。」

 桃色髪の女騎士さんに問われる。

「それは私のセリフだよ?なんたっていきなりコスプレをした友人が空から降ってきたんだからね?もしかしてラピュタでもあった?」

 茶化しているが結構、混乱している。
 いきなり友人が空から飛んできたのだ。しかもコスプレをして。
 私はそれを見て、頭がおかしくなったのかと思った。私も姿は変わっているが、これは王様の権能『悪魔の騎士団』(ナイト・オブ・マーチ)の力だ。それに召喚でも服装は変えられるが、空を飛ぶのは魔女じゃないと無理だ。それでもあんな緩急をつけられるようなものじゃない。フェイトが魔術師だということだけで驚きなのに、こんな訳の分からないことをしでかしてくれたのだ。私の頭はオーバーヒート寸前だ。

「ら、らぴゅ?・・・とにかく!私たちは管理局です!知っていますよね!?」
「入国管理局や鉄道管理局なんかはね?だけど、どの管理局も逮捕権なんてもってなかった気がするんだけどな?」
「時空管理局です!とぼけないでください!魔導師なら誰でも知っているはずです!」

 魔導師?
 魔術師じゃなくて?
 どういうことだ?
 私の頭の中はそんな疑問で埋め尽くされる。
 そんな時だった。・・・王様の声が聞こえてきたのは。

『鬼ごっこかい!?いいね!僕が鬼だ!僕と僕の悪魔たちに見つからないよう、うまく隠れることだ!』

 うわあ。とんでもなく無茶な要求だなぁ。
 悪魔はそれこそ数百体出せるし、彼は魔女術の使い手でもある。
 離れているものを見る『魔女の目』が使えるのだ。そんな相手と『鬼ごっこ』なんて勝敗が決まっている。

「えげつないことをするなぁ、王様。あれ、狩られる狐の気分を味あわせたいから逃がしたんだろうなぁ。」

 そう思い、明後日の方向を見ながら遠い目をする。

ズガァアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 何やら赤い砲撃がビルを3つほど吹き飛ばした風景を見てしまった。

「『弓矢』・・・。ていうか!危ないよ!近くに私がいるんだよ!?当たったらどうするのさ!?」

 かつて『弓矢』の力の巻き添えを食らいそうになった時に味方が近くにいるときは使用しないと約束させたはずの権能を人間相手にぶっ放している。どんな状況だよ・・・・。そう思わずにはいられない。『ラグナロク』とかこんな感じじゃないかな?と思う。

「なんなんだ・・・。あの砲撃・・・。」
「高町のものより強力かもしれん・・・。」

 赤毛ちゃんとワンちゃんがそんな事をしゃべる。というかワンちゃん喋れたのか。驚きだ。

「あー!もう!フェイト!私とここで戦え!」
「え・・?えぇ!?」
「あんなところに友人を行かせられるか!だから私が足止めをする!いいね!?」
「ちょっと!困るよ!」
「問答無用!!」

 私はフェイトに魔銃を向けて引き金を引いた。




「こんなものかな?」

 僕はそう言って、手の中にあるものを見る。
 それは銃だった。銃身は2つ、縦に並んでおり、銃口は大きく、銃自身も大きい。
 銃身を切り詰めた(ソードオフした)上下二連散弾銃の形をした銃だ。
 ロッテの影響で銃も使い始め、ちょうど『弓矢』の権能で媒体が必要になったからそのまま使っている銃だ。アメリカの魔王の持っているものと同じくエオル鋼製だ。
 『弓矢』は、今すべての力が使えるから5発。今一発使ったから4発だ。・・・っと忘れていた。この力は味方がいるときには使うなと言われていたんだった。
 僕は銃をしまう。
 ・・・見つけた。『魔女の目』に引っかかった。
 自分が赴くのも悪くはないが少々味気ない。そうだ『暴風』でとどめを刺そう。腹の立つ奴ではあったがなかなか楽しませてもらったお礼だ。

「大地よ。畏れ、震え、恐怖しろ。我が雷は大地を穿ち、我が豪雨は大地を削り、我が烈風はこの世の全てを吹き飛ばす。我は天。無慈悲な天なり!」

 聖句によって権能を全開にする。
 『暴風』の能力は天候操作。
 嵐を呼ぶことにより、雷、風、水を操ることができる力だ。
 僕の権能の中で最大の破壊力を誇る『咆哮を上げる破壊の暴風』(ローアストーム・ディストラクション)の中でも最大の破壊範囲を持つ広域殲滅用の力だ。
 厚く空を覆っている雷雲から稲妻がほとばしり、あの男がいる場所に稲妻を落とす。

ドガァアアアアアアン!

 つい耳を覆いたくなるような雷鳴が響き渡る。
 これで奴は死んだ。
 そう思いすずかを休ませている小屋へと足を向ける。

ゾクッ!

 嫌な予感がし、反射的に横に飛び退く。
 ついさっきまで僕がいたところを火球が通り過ぎ、小屋へと当る。
 すずかが休んでいるはずの小屋に。

「すずか!」

 声を荒立てて瓦礫の山となった小屋へと走り出す。
 悪魔を召喚し、瓦礫の山を掘り起こさせる。
 僕自身も、瓦礫を掘り起こす。
 しばらく掘り起こし続けていると、紫色の髪の毛が見えてくる。
 すずかの髪だ!
 そう思い、散らばらせていた悪魔たちを呼び、僕のいる場所に集中させる。
 掘り起こされたすずかは、僕が『薬水』の力で治した前よりも酷くなっていた。
 右足はあらぬ方向に曲がっており、左足からは骨が飛び出ていて、左手は千切れる寸前と言った感じだ。
 そして僕はこう思う。
 『なんで生きているんだ?』と。
 僕はこんな状態になって生きながらえる存在なんか、それこそカンピオーネぐらいしか知らない。なのになんで生きているんだろうと。

「生きているのが・・・不思議って・・顔だね。」
「喋らないでね。傷が開くから。」

 僕はそう言いながら治癒の魔術を彼女にかける。

「それはね…私たちが『夜の一族』と呼ばれる・・存在だから。」

 治りが遅い。治癒の魔術より早く出血が致死量に達する。

「私たちは・・・他人の血を吸って・・高い生命力を得たり・・・情人離れした・・運動能力を得たり、できる吸血鬼。・・・化け物なんだよ。」

 治癒の魔術では彼女は助からない。
 彼女を助ける手段は・・・1つだけある。

「へえ。化け物か・・・。魅力的な言葉だね。君が欲しくなるぐらいに。」
「へっ?」

 常人離れした『夜の一族』すらも超える、魔王の兵士である悪魔へと生まれ変わらせること。

『赤い鴉』(ロートクレーエ)に入りなよすずか。きっと楽しいよ?僕直属の6人目の部下にして、ほかの奴らは金銭面に疎い奴らばかりだから会計とか頼もうかな?」
「ち、ちょっと待って!・・・私は化け物なんだよ!?」

 泣きそうな顔でそう叫んでくるすずか。

「奇遇だね。僕も魔王という名の化け物だ。だから僕の味方には化け物みたいな奴がいい。化け物そのものならなおさらだね。・・・・だからすずか。」

 僕が口にしているのは《悪魔》の甘言。
 人の弱みに付け込み、人を操る外道の技。だけど・・・。

「僕の物になれ。君が欲しい。」

 この言葉に嘘偽りはない。




「ちくしょう・・・。ちくしょう・・・・。」

 泣いていた。
 革命グループ『ラグナロク』のリーダー、アドルフという男だ。
 誰もいないビルの片隅で泣いていた。
 今まで欲しいものは金であろうと、女であろうと、権力であろうと力で手に入れてきた男がだ。

「なんであんな化け物どもに手を出しちまったんだ・・・・。」

 弱音を吐きながら泣いていた。

「こんなもの手に入れなければ・・・・。」

 懐から出したのは、石でできたメダルだった。
 彼が襲った貨物船に乗っていたロストロギアだ。
 変な紋章が描かれており、ただの石なのにどうやっても割れない不思議なメダルだった。
 そのメダルを取り出したときだった。空から稲妻が降ってきたのは。

「がああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 明確な殺意の込められた天災は男を焼き尽くす。
 炭となった男の隅にメダルが転がる。
 メダルが光る。先ほどの雷のように妖しく光る。
 炭となった男の体が変貌する。
 黒く炭化した肌は肌色になり、黒い体毛に覆われる。
 手足は太く、たくましくなり、鋭い爪が生え、犬の手足のような形になる。
 背中からは神々しさすらも感じる鷲のような翼が生え、蛇の尾が生えてくる。
 狼。
 男は羽を生やし、蛇の尾を持った巨大な狼となっていた。
 メダルが狼の胸元へと入っていく。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 先ほどの男と似た、しかし聞くものに恐怖を与えるほどの悪意を持った咆哮。
 ソロモン72柱の1柱。天より落ちた第七の玉座。35番目の大いなる侯爵『マルコシアス』は誕生の産声を上げた。



ヒロインの書き方とかよくわからない。

というかなんでソロモン72柱ばかりなんだ?

我ながら不思議です。


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