魔王少年リリカルカンピオーネ (ヤギ3)
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今回は第3者目線です。
第12話 管理局会議
―――数日前
ハラオウン家でとある会議が行われていた。
そこにいるのは高町なのは、八神はやて、フェイト・T・ハラオウンはもちろんのこと。神威龍夜、峰岸龍馬、そして龍馬のユニゾンデバイス、ダンタリオンに八神はやての騎士ヴォルケンリッター、リインフォース、リインフォースⅡがいた。
「みんな今日集まってくれてありがとう。今日はみんなに知らせたいことがある。」
そう言って前に立つのは黒髪の、しかし彫りの深いことから日本人ではないことがわかる青年だった。
名前はクロノ・ハラオウン。
若くして、巡行艦『アースラ』の提督を任される秀才だ。
「エイミィ、頼む。」
「うん。了解。」
彼の呼びかけに答える女性の名はエイミィ・リミエッタ。
彼女もまた、若くして管制司令を任されるほどの才女だ。
ちなみにクロノとエイミィは1年後に結婚を控えている。
エイミィがパソコンらしきものを打って出てきたのはある一点に赤い丸が付いている海鳴市の地図の画像だった。
「数日前、海鳴市のとある場所で魔法を使った戦闘が行われた。ここまではみんな知っているな?」
「うん。あれだけ派手に魔力を使っていればさすがに分かるよ。」
彼女たちからすればそんなことは周知の事実だ。むしろ彼女たちが気になっているのは
別のこと。
「そうやな。だけどクロノ君、なんで行こうとした私たちを止めたん?」
クロノは、現場に駆けつけようとしたはやて達を止めたことが彼女たちにとっては一番の疑問だった。
しかし、それは当然の判断で、
「主、主たちは言わばアースラの切り札です。彼は切り札を早々に切るわけにはいかないと思ったのでしょう。」
「それに、いったところで鑑識なんて真似できないでしょ。デメリットはあってもメリットはないわよ。」
クロノの考えを代弁したのはリインフォースとダンタリオンだった。
祝福の風リインフォース
かつて消える運命にあった彼女が生き残っている理由は、ダンタリオンの知識を使い作ったユニゾンデバイスもどきを体に使っているからだ。
リインフォースもユニゾンデバイス。電子機器であるデバイスなのだ。だから全く何の設定もしていないユニゾンデバイスに彼女の意識のみをインストールすれば後に残るのは危険なリインフォースの体だけであり、彼女は新しい体を使って生き延びることができたのだ。もちろんデメリットがいくらか存在する。と言ってもダンタリオンの知識と技量がなければ全く実現できなかったことではあるのだが。
書架の叡智ダンタリオン
峰岸龍馬のユニゾンデバイスである彼女は他のユニゾンデバイスとは違ったコンセプトで古代ベルカ時代に作られた。そのコンセプトとは『戦場の第一線でも、戦場の裏でも使える万能型』。簡単に言うならば、戦闘はもちろん、索敵でも、デバイスの制作という裏方の仕事でも彼女はこなせるのだ。
ただし、どの分野でも一点特価のユニゾンデバイスには及ばない。
だが、彼女の知識は魔法の発展に大きく貢献していると言っていい。その最たる例が先ほど述べたユニゾンデバイスの制作だ。全くわからなかったユニゾンデバイスの一部とはいえ、明らかにしたのだから。
そんな彼女たちの言ったことにクロノは大きく頷く。
「その通りだ。君たちの存在が彼らに知られているかもしれないが、それでも具体的な戦闘能力を敵に教えるわけには行かなかったからな。」
「それでそこで何があったのお兄ちゃん?」
「そうだよ。一体何があったんだよ。さっさと話して、さっさと終わらせよーぜ。」
神威の明らかにやる気のない台詞とフェイトの可愛らしい問いを聞き、彼は困ったような顔をする。
「神威、お前はもっとやる気を出せ。フェイト、こういう時にお兄ちゃんと呼ぶのはやめてくれ。・・・コホン。話を戻すとそこにはあるものが残されていた。」
「あるものって何や?」
「それは血痕と斬られた右腕だ。」
『な!』
そう言って驚くみんな。
彼女たちの魔法には『非殺傷設定』なる物が存在する。故に血を流すことはほとんどないといっていいだろう。だから彼女たちには血を流すことになる状況というのが理解できないのだ。
「この血痕を調べてみると『ラグナロク』と呼ばれる組織の人間の血痕と一致した。『ラグナロク』とは言わば革命家たちによる反管理局組織だ。と言っても革命とは名ばかりの犯罪組織だがな。」
『ラグナロク』の犯罪リストを見てみると、人身売買、質量兵器の密輸、ロストロギアの強奪など大規模な犯罪から、銀行強盗、売春、麻薬取引などヤクザのようなこともやっているようだ。
「現在、この組織が地球に潜入している可能性が出てきた。次に切られた腕を見てもらおうと思う。『ラグナロク』の男の体格なども想像しやすいだろうからな。・・・何より、この男を斬った奴の腕前もな。」
最後に言った言葉は小さくて誰の耳にも入らなかったようだ。
「これが斬られた腕だ。つらいだろうが我慢してくれ。」
画像が切り替わり、そこに映っていたのは大きな男の腕だった。
この画像を見て、全員が息を呑む。
しかし、歴戦の戦士であるヴォルケンリッターだけは違っていた。
「これは・・・。」
「・・・スゲエな。」
「大した腕前だ。」
「ええ。ここまでの腕前の剣士と出会ったのはひさしぶりね・・・。」
彼らは斬られた腕の断面を見て感嘆の息をもらす。
「そんなにすごいのか?」
「ああ。おそらく私よりも腕は上だ。」
龍馬の質問に答えたシグナムの言葉にみんなが驚く。
「そんな・・。シグナムよりも?」
「ああ。そうだテスタロッサ。今回の敵は強敵のようだぞ。」
信じられないというようなフェイトの声、そして楽しみだと言わんばかりのシグナムの声が静かな部屋に響き渡る。
「とにかく、得体の知れないアンノウンがいるのは確かだ。みんな気をつけてくれ。」
「ああ。アンノウンを見つけたら言ってくれ。最強であるこのオレがサクッとぶっ倒してやる。」
そんな神威のセリフに白けながらも全員帰っていった。
それから数日後だった。
町が謎の霧に包まれ、悪魔の騎士たちで溢れかえったのは。
リインフォースが生き残っていることについてはパソコンからUSBメモリにデータを移す感じを想像していただけると分かりやすいかと思います。
もちろんデメリットがあり、リインフォースⅡがいる理由もそこにあります。
もちろんデメリットがあり、リインフォースⅡがいる理由もそこにあります。