魔王少年リリカルカンピオーネ (ヤギ3)
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神威のかませっぷりがテンプレすぎる。
そんな10話
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第10話 転生者「神威龍夜」
パンドラさんからの忠告を受けて数日。未だに異変らしい異変はない。変わったことといえば。
「おはようなのは。」
「おはようなの、結城くん。」
「あたしもおはよう。王様?」
「おっはー結城。おはようございます!ロッテさん。なのはさん。」
僕と大輔に対する男子の視線であろうか。「名前で呼んでいいよ。」と言われた翌日、名前で挨拶をした瞬間、男子から大量の嫉妬の視線をもらうことになった。彼女の言っていた異変とはこれだろうか。確かにわかりにくいが、普通の男子中学生が殺気混じりの視線を寄越してくるのは不自然だ。とてつもなく。では一体どうやってこの視線をどうやって倒そう。もちろん視線に実体などない。かと言って視線を向ける人間全員を殺すわけにも行かない。そんな事をずっと昼休みまで考えていた。昼休み、ご飯をちょうど食べ終わった時だ。ある少年が僕の目の前にやってきた。
銀の髪、青と紫のオッドアイ。顔は中性的で、微笑めば男子も女子もクラッときそうなほど整った、名工が作った彫像のような印象を受ける美少年である。しかし、浮かべているのは笑顔などではなく、不機嫌というのがひと目でわかる。そんなしかめっ面をしている神威龍夜であった。
「逆月結城だな。」
「うん、そうだけど。どうかしたかな。僕がなにかしたかい?君には何もしていないように思うんだけど。」
「ちょっと屋上に来い。」
そう言って教室のドアに向かっていく神威。仕方なくついていくことにする僕。
「気をつけてね、結城くん。」
僕は一体何をされるんだろう?
このオレ、神威龍夜は転生者だ。
気がつくと体が小さくなっており、近くに巨大な人間が立っていた。それでオレは悟った。
オレは転生したのだと。
父はミッドの研究所に勤めている研究者だった。それでこの世界が『魔法少女リリカルなのは』の世界であることが分かった。
それがわかりオレは歓喜した。
世界観も好きだし、何よりヒロイン達が魅力的だ。自分が好きなアニメを言えと言ったら間違いなく『リリカルなのは』と答えるだろう。
顔も銀髪オッドアイのイケメン、魔力もSSSもある天才。そして親父から譲ってもらった古代ベルカ式の高性能なデバイスもある。オレはなんて神に愛された存在なのだろうと思った。
しかし、予期せぬ邪魔者がいた。
峰岸龍馬。アイツがいた。
小学3年生になってようやくなのはたちと同じクラスになり、話しかける機会ができたというのに、いつもあいつが邪魔をする。「無印」の時も「A’s」の時もいつもあいつが邪魔をする。中学生に上がってもあいつはオレのなのは達にベタベタとくっつきまくる。彼女たちだって嫌に決まっている。なんせ彼女たちはこのオレに惚れているのだから。
しかし、あいつは強い。もちろん最強はオレだが、この最強のオレが挑んでも煩わしく感じるくらいには強い。だがあいつは負けた。魔法も使えないような奴に。いい気味だ。これでやつの評判もガタ落ちだ。そう思った。
だが違った。
やつの評判が落ちるのではなく、1人の男の評判がとてつもなく上がったのだ。
逆月結城
それが男の名だ。曰く、剣の天才。曰く、とても謙虚で礼儀正しい少年。曰く、負けるところが想像できない強者。
なんだそれは。何なんだそれは。
そう思って彼女たちを問いただした。
なのはも、アリサも、はやても、フェイトも彼のことを褒めるばかり。ああきっと脅されているんだ。かわいそうに。
そして決定的なのはすずかだった。
やつのことを話している時に“震えていた”。間違いない。奴が脅しているんだ。奴がなのは達を呼び捨てにしているのも、奴が強要させているんだ。
そうに違いない。現に奴は転校してきたロッテに『王様』などと言わせて喜んでいた変態じゃないか。許さないぞ腐れ外道め!
そう思い奴を屋上に呼び出し、こう言ってやった。
「俺のなのは達から離れろクズめ!!」
「俺のなのは達から離れろクズめ!!」
いきなりひどい言われようだった。
「ちょっと待ってね。・・・うん続けて。大丈夫、気持ちの整理は出来たから。」
「とぼけるな!お前彼女たちを脅迫しているんだろう!!」
「ごめん。大丈夫じゃなかった。もうちょっと待ってね。」
脅迫?誰が?誰を?なんの目的で?わからないことだらけだ。というより。
「お前のってどういうことだ?」
「彼女たちは俺に惚れているからな。俺のものだ。」
チョットマテ。惚れている?お前に?
むしろなのはなんかは、龍馬に気があるように思ったんだが。後で問いただすと顔真っ赤にしてあたふたし出すし、完全に龍馬に惚れているだろう。
「脅したつもりは全くないんだけど。」
「嘘を言うな!すずかなんかは震えていたんだぞ!!」
”震えていた“
やはり彼女は魔術関係者なのだろうか。そうすればこの言葉にも納得がいく。ロッテは四六時中『王様』って言ってくるし、前に『剣の王』という言葉を言っている。これは魔術関係者なら知らない者はいないイタリアのカンピオーネ、サルバトーレ・ドニのあだ名である。
僕は、基本的に『赤の鴉』で活動をしていたり、依頼を受けていたりしていて本名を知らなくてもいいし、何より、いろんな組織に名前を伏せておいてと言っているから権威は持っていても名前は知られていない魔王なのだ。
といっても魔王の名前だ。調べればすぐに分かる。
身近にいた少年がじつは魔王。しかも実力者である友人を容易く蹴散らせるほどの怪物。
震えるのも無理はない話だ。
自分がかつて彼の怒りを買うような行動はしなかったか。これから王の逆鱗に触れない様に生きていけるだろうか。
そう考えると震えるのも判る。
これは彼女に・・・いや、彼女の家と接触する必要がある。
そうすれば、数年前の謎の魔力反応とここ数日の不審な魔力反応、変わった魔術師に変な魔道具の秘密がわかるかもしれない。
面白そうだ。たまには探偵の真似事も面白いかもしれない。ここにロッテがいれば、「はた迷惑なことを仕出かすだろうな。」と言うだろう。だが構わない。少なくとも他人の忠告を聞き入れるつもりは全くない。僕は傍若無人な魔王の一人なのだから止まる気は全くない。
「本当に彼女は震えていたんだな?」
「ああ本当だ!一体何をした!!」
「そう・・本当なのか。ありがと、教えてくれて。」
「アア!?どう言う意味だ!!」
「じゃあ。また明日ね。バイバイ。」
「あっ!てめえ!待てっ!」
神威の言葉を無視してすずかのもとへ走る。
「すずかっ!」
「へっ?」
間抜けな返事をしながらこちらを向くすずか。僕の姿を映した瞳には間違いなく恐怖の色が浮かんでいた。
間違いない。彼女は僕の正体に気がついている。
そう思い、愉悦で唇を歪ませる。
「ねえ。君の家に連れて行ってくれないかな?とても大切な用事があるんだ。」
僕は笑いながらそう言った。
「へっ?ああ、うん。いいよ。」
彼女は泣きそうな顔でそう言った。
「ちょっと投稿スピード落ちるかも。」
僕はキメ顔でそう言った。
僕はキメ顔でそう言った。