魔王少年リリカルカンピオーネ (ヤギ3)
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初めてのなのは視点

頑張ってみました。



第9話 模擬戦

「ねえねえ。どっちが勝つと思う?」
「そうねえ。やっぱり龍馬じゃない?最近剣道の腕も上がってきたとか言ってたし。」

 今、幼馴染の龍馬くんとクラスメイトの逆月くんが木刀を持って向かい合っています。龍馬くんは小太刀二本を構えて、逆月くんは大きな刀をだらりと無造作に下げています。

「そうだよね。龍馬くん小さい頃から頑張ってたから。」
「私も龍馬くんが勝つと思うな。」
「あ。わたしもや。いっぺん間近で見たことがあるんやけど。すごかったでー。」
「私も龍馬が勝つと思うな。手合わせした時すごく強かったから。」

 私も、アリサちゃんも、すずかちゃんも、はやてちゃんも、フェイトちゃんも龍馬くんが勝つと思っているようです。「P・T事件」の時も「闇の書事件」の時もその剣で私を助けてくれた。そんな彼が負けるとは思えません。

「ロッテちゃんと熊田くん、お兄ちゃんとお姉ちゃんはどう思う?」

 多分、ロッテちゃんたちも龍馬くんが勝つと思います。なにせ逆月くんは女の子のように小柄だからです。普通に考えて逆月くんの方が不利です。
 しかし、ロッテちゃん達の答えは私たちの考えを大きく外れたものでした。

「結城の勝利っすね。」
「王様の圧勝だね。」
「逆月くんかな。」
「逆月くんだろうな。」

 私たちはそれを聞いた瞬間何を言われているかわかりませんでした。確定した事実を述べるかのように淡々と言った彼らの考えがわかりませんでした。

「なんでそう思うの?」
「なんたって王様だからね。勝つに決まってるよ。」
「正直あいつが負けることを想像できないっすから。あいつはどんなに不利な状況でも勝つような奴っすからね。負けることなんかないっすよ。」
「彼、とてつもなく強そうだよね。恭ちゃん。」
「ああ。正直なところあの構えを見ているだけで寒気が走るくらいだ。」

 お兄ちゃんですら。私はその事実に唖然としました。なにせ剣術だけなら歴戦の戦士であるあのシグナムさんとも渡り合うお兄ちゃんが弱音を吐いたのです。彼は一体どれだけ強いんだろう?自然とそう思うようになりました。

「構えないのか?」

 龍馬くんの声で私は意識を引き戻されました。確かに半身に構えてはいるけれども右手にある刀は未だにだらりと下げているだけでした。

「これが構えかな?練習中の構えでね。知り合いの剣術を真似ているんだ。なかなかうまくいかなくってね。ちょうどいいから今回試してみようと思うんだよ。」
「そうなのか。だけどその構えの実験台と思われているのは不愉快だな。その余裕いつまで続くかな?」
「うん。期待しているよ龍馬?」
「そろそろいいか?」

 隣にいるお兄ちゃんがそう言ったきり彼らは話さなくなりました。龍馬くんは顔を引き締め、氷のように冷たい雰囲気をまとって。対して逆月くんは獰猛な獣のように笑い、炎のように荒々しい雰囲気をまとって。

「それでは・・・始め!」

 龍馬くんがとても速い動きで動き出しました。


 カカン。

 そんな乾いた音が道場中に響き渡りました。
 3太刀。
 それが龍馬くんを倒した手数の数でした。
 1太刀目で右手の木刀を、2太刀目で左手の木刀を弾き飛ばし、3太刀目で木刀の(きっさき)を龍馬くんの喉元に突きつけていました。

「嘘・・・。」

フェイトちゃんのそんな声が静かな道場に響き渡りました。一度手合わせをしたことのある彼女からはとても信じられない結末。逆月結城くんの圧勝でした。




「・・・まいった。」
「そう。」

僕はそう言って木刀を下ろす。・・・やっぱりサルバトーレのようにはいかないな。僕の剣の技量は大騎士以上、『剣の王』以下といったところだ。彼の剣術をそのまま真似ても猿真似にしかならない。

「それにしても強いな結城。ここまでコテンパンにされたのは久しぶりだ。」
「うん。龍馬もそれなりに強いと思うよ?少なくともそこらの相手じゃ負けないと思う。」
「はは。そりゃよかった。」

 そんなことを言い合いながら、僕と龍馬はお互いを褒める。

「め、めっちゃすごいなあんた!」

 興奮した様子でこちらに詰め寄ってくる八神さん。一体どうしたのだろう?

「龍馬くんは結構な実力者なんやで。それをあっさりと倒すってあんたほんま何者なんや。」
「何者と言われてもなぁ。別に大したものじゃないんだけど・・・。知り合いに僕より強い奴がいるっていうだけだよ。そいつの相手をさせられていたら自然と強くなったんだよ。」
「あんたより強いってどんだけやねん!」
「『剣の王』って言われるぐらいだね。ちなみにさっきの構えも彼のものを真似していたんだよ?」

 『剣の王』といったところでビクッとした反応を見せた月村さん。彼女こちら側の人間なのかな?全く気が付かなかった。今度そのことで話してみようかな?

「いやー。さすが王様だね。こうシュパーンて感じ?とにかく流石だよ。」
「全くだな。今度俺とも手合わせ願いたいぐらいだ。」

 ロッテよ。お前は一体何が言いたい。そして恭也さん、あなたはサルバトーレと同類なんですか?
「まあ手合わせはまたいずれということで。そろそろいい時間ですし、ここで解散にしませんか?」
「そうね。そうしましょう。ほらみんな帰るわよ!」

 バニングスさんの鶴の一声でみんな帰る準備をしていく。




「それじゃあな結城。また頼むぜ。」
「うん。それじゃ龍馬。また僕が勝つよ。高町さんもそれじゃ。」
「うん。それと、なのはって呼んでよ。」
「え?なんで?」
「もう友達でしょ?だから名前で読んで?」

 いつの間にか高町さんに友達認定されていたようだ。

「あ、私もはやてでいいで。」
「じゃあ私もフェイトって呼んで。」
「私もアリサでいいわ。」
「私もすずかで。」
「そう?僕も結城でいいよ。じゃあ、またね。なのは、フェイト、はやて、アリサ、すずか。」
「またなー。」
「またね。」
「また。」
「またね。」

 僕は彼女たちにそう言って家に帰っていった。

「『剣の王』、彼は魔術関係者?それに王様って・・・。もしかしたら。」

 月村すずかのそんな声を聞くことなく。




「ヤッホー、ユウキ。」
「やっほー、パンドラさん。」
「もー!お義母さんって言ってくれてもいいのに!」

 この緊張感のない声の持ち主は女神パンドラ。カンピオーネたちの元締めにして支援者だ。
 お義母さんは無理ですパンドラさん。見た目全然違うじゃないですか。少なくとももうちょっと身長伸ばしてから言ってください。

「つれないのねー。お義母さん悲しい!」

 もうちょっと女神の威厳というものは出ないのだろうか。女神というよりはノリの軽い女子高生だ。見た目は下手すると小学生ぐらいだが。随分と艶かしい小学生だな。

「それはそうとユウキ。よーく聞きなさい。あなたの近くに異変が起こるわ。」
「異変?まつろわぬ神関係かな?」
「うーん違うと思うわ。何と言うかこう、将棋盤の上にチェスのコマが置いてあるような違和感なのよね。」
「ものすごくわかりやすい異変だね。」

 一目瞭然である。とてつもなくわかりやすい。

「うーんわかりやすいんだけど。わかりにくいのよねー。まあいいわ。よくわかりにくいことを伝えたいからここでの記憶が残るユウキを呼んだんだし。頑張って考えて異変を解決してね。」

 そう言ってウインクをするパンドラさん。無責任だなー。
 余談だが、ここでの記憶が残る理由は《霧》の権能である。異界に行って、帰ってきて記憶なくなりましたー。じゃ本末転倒だからその土地に身体と魂を適応させる副作用があったのだ。《霧》マジ便利。後で知ったのだが、この権能のおかげでパンドラさんの方も気軽に呼べるんだとか。

「じゃあ頑張って異変を倒しちゃおー!えいえいおー!」

 そんな威厳どころか緊張感までないセリフを聞いて現実に帰還する。
 女神ってみんなあんな体育会系なのかな?



文字数がこの話からかなり増えていきます。

なかなか進まないからねー。


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