魔王少年リリカルカンピオーネ (ヤギ3)
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ただの少年が中学3年複数の権能を持っているっておかしいよな。
と思い付け足した設定です。
主人公、小学生ぐらいで神殺しになってないか?



第6話 《鋼》の鞍馬天狗

 神獣狩りが終わり、ロッテの爆弾発言を聞いたあと、日本へ帰ってきた。というか帰り際に聞いた「準備があるからちょっと待っててねー。」の一言は本気だと確信させるには十分すぎた。彼女は美人だ。学校ですぐに人気者になるだろう。そんな噂の転校生が実は僕と知り合いでしたーとなると男子どもがどういうことだと群がってくるだろう。神威あたりは特にうるさそうだ。少なくとも自分の立場が急変することは目に見えている。
 いやだ。ようやくクラスのみんなとも馴染めたのに。大輔以外の友達もできたのに。
 ところで、今日は鞍馬の爺さんのところに行こうと思う。鞍馬の爺さんとはあの牛若丸に剣を教えた鞍馬山僧正坊ご本人だ。本人曰く「才能のある人間を育て、その人間の行く末を見るのが楽しみ」という変わり者の神様だ。ちなみに僕が神殺しになった理由は、この爺さんの《鋼》の加護を受けていて、興味を持ったまつろわぬ鈴鹿御前に勝負を挑まれたからである。
 そんな爺さんは幽界でのんきに隠居中だ。幽界なんぞにどうやっていくかというと《霧》の権能を使って幽界に行くのだ。《霧》の権能は移動チートなのだ。

「それじゃ行くか。」

 霧が立ち込め、晴れた時には全く別の場所だった。
 山。
 そうとしか言いようのない風景だ。地面は緩やかな傾斜をしており、脇には木々が所狭しと生えている。
 僕はその傾斜の道を登っていく。
 少し歩くと、目の前に小屋がある。

「爺さんー。きたよー。」

 そう言いながら、扉を開ける。

「わかっとるわい。・・・それで何しに来た?」

 姿を現したのは、鴉の翼をはやした強面の老人だった。

「うん?剣の稽古にだけど。」
「ほう・・・。いい心がけじゃ。ちょうど儂も退屈しておったしな。相手をしてやろう。」

 ニヤーと悪い笑みを浮かべながら、爺さんは脇に置いてあった日本刀を、僕は小太刀のような顕明連と太刀の小通連を持って二人一緒に小屋を出る。
 それぞれ刀を構える。
 爺さんは居合の構えを、僕は顕明連と小通連の二刀流で構える。
 初めは僕が、爺さんに右腕の小通連で斬りかかる。
 が、爺さんの神速の居合切りで斬撃をそらされしまった。だがこんなのは予想の範囲内だ。今度は左の顕明連で、それも防がれたら小通連でと、どんどんと攻撃していく。その暴風雨のような猛攻は大騎士などではすぐに細切れにされてしまうほどだ。
 だが、爺さんはたやすく躱し、防ぎ、時にはカウンターを入れられるほどだ。そんな殺し合いといっていい稽古は、数時間に及んだ。


「今回はここまでじゃ。」
「えー。」
「えーじゃないわ阿呆。」
「楽しかったのに。」
「其れについては同感じゃが・・・。おぬし、時間はええのか。」
「え?・・・門限過ぎてる。」

 最悪だ。母さんの鉄拳制裁が待っている。なぜかまつろわぬ神と戦うようになってからもただの人間である母さんの拳骨の痛みは全く変わらず痛いのだ。母は強し、てことなんだろうか。

「じゃあ俺はもう帰るから。」
「おう。また来るとよいぞ。」

 なんだかんだ言っても爺さんも本気を出せる機会があってノリノリなのだ。

「うん。じゃあね。」

 そう言って僕はダッシュで家へ帰っていった。
 だが、鉄拳制裁から逃れられる術はなかった。
 帰りたくないなぁ。



爺さんキャラが安定しない。


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