魔王少年リリカルカンピオーネ (ヤギ3)
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戦闘シーンをもう書きたくない。

そう思わされた第5話です。



第5話 竜退治

『赤い鴉』(ロートクレーエ)副総帥 シャルロッテ・クラウゼヴィッヒ
 彼女はこの仰々しい役職に似合わず、非才の身である。
 もとは騎士の家系に生まれた彼女だが、剣の才能はなく、魔術は電気の操作こそ一級品だが威力がなく戦闘に向かない。かといって、魔女の素質があるのかというと、これもない。だが彼女には彼女だけの才能があった。
 それは魔術を使った機械の操作だ。先ほども言った通り彼女の魔術は威力がないが操作性という点だけを見ると下手な魔術師、もしかすると聖騎士レベルの人間ですら凌駕するほどである。そんな彼女はその電気の魔術を使った、精密機械の操作、ネットへのハッキングなど近代的な物にはとことん強いのだ。
 この特異性があるからカンピオーネが運営している組織のナンバー2になれたのだ。
・・・なぜいきなりこんなことを説明し出したかというと、

「ん。終わったよ王様。市民の避難は無事しゅーりょー。」
「ありがとロッテ。」

 いま彼女の情報操作能力を持って戦場になる地域の市民を避難させていたからだ。《霧の境界線》で人のいない空間は作れるが、万が一ということもある。用心しておくに越したことはない。

「さてとそれじゃ始めますか。」

 そう言って僕は神獣のいる場所へ権能を使って移動する。
 そしてそこにいた神獣は、

「…まさかの竜。」

 ドラゴンだった。
 冗談じゃないよ。確かに倒せないことはないけど竜の相手って結構疲れるんだよ?なんたって竜はそのほとんどが大地と密接に関係している。大地母神系の神獣または神は総じて生命力が高い。だからしぶといんだよ。
 そんなことを考えていると、竜がこちらを向いた。その瞳には隠し切れない敵意が込められていた。
 たぶん僕の《鋼》に反応しているんだろうな。僕が一番最初に殺した神は《鋼》だったから。
 そんなことを思いながら僕は《鋼》の権能を使い、自分の左手に三尺はある大太刀を呼び出す。
『智慧の三刀』
 鈴鹿御前より剥奪した僕のが手に入れた最初の権能だ。
 鈴鹿御前は伝承によって天女といわれたり、鬼女といわれたり、また女盗賊といわれることもあった神である。彼女は、大通連、小通連、顕明連といわれる三つの宝剣を振るって坂上田村麻呂とともに鬼の族長・悪路丸を討伐した、いうなれば日本の戦乙女である。
僕が奪った権能は彼女の宝剣だ。彼女の剣は智慧の神、文殊の化身といわれている。だからこの権能の本質は知識だ。それぞれ一日に三回、顕明連は成功率一〇〇%の霊視を行え、小通連は他人と知識を共有し合うことができ、大通連は技術をその身に宿すことできる。ただし、本質は知恵の剣であるためあんまり戦闘に向かないということが欠点だが。
《鋼》の権能を出したためか、竜はより一層その瞳に敵意を宿して襲いかかってきた。僕はそれを避け、すれ違いざまに大通連で首を切りつける。

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 この世のものとは思えないほど大きな悲鳴を上げる竜。だけどその程度で攻撃の手を休めるほど僕は優しくない。翼を斬り、足を斬り、胴を斬る。体を何回も切り刻む。楽しい。そう思う。今僕は竜を斬りながらそう思っている。まさしく魔王だな。自嘲と愉悦が混じった笑みを僕は浮かべる。斬り続けていると竜は力なく倒れこんだ。

「これでお終い。」

 そう言って僕は、竜の首を大通連で貫く。竜はピクリとも動かなくなった。そしてキラキラと粒子になって消えていく。

「ありがと。」

 自分を楽しませてくれた竜に感謝の言葉を送って、《霧》の権能を使いその場から去る。


「いやーさすがだね。竜をあんなに楽に倒しちゃうなんてさ。」

 帰ってきてそうそうロッテがそんなことを言ってきた。

「そうじゃないと魔王なんて勤まらないよ。」
「うん、そうだね。だけどさ王様?こういう時、情報を集められる存在が傍にいた方がもっと楽になると思わない?」

 つまり何が言いたいのだろう?

「というわけで私も日本で暮らすから。」

 ・・・・・・・・ハイ?



また地味な権能だなと思った方。

ほんとにすみません。

ちなみに大太刀は大通連です。


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