連日テーマに上げている奨学金問題。またもや徳武さんがすばらしいツイートを残していたのでご紹介です。
2013年10月12日(土)大阪弁護士会主催シンポジウム「奨学金の今と未来を考える」まとめ – Togetter
昔と今では事情が違う
コメント欄などで多数おじさんたちから「オレは20年掛けて返したぞ!」「私の叔父は30年掛けて返しました」みたいな意見を貰ったのですが、昔と今では事情が違うことを知らなければなりません。
中京大学の大内裕和さんからも、まず世代間認識の差についての指摘がありました。
基調講演「奨学金制度の現状と課題」(中京大学:大内裕和さん)→奨学金問題に関心はあったし、自分も借りていたので、自分の問題。しかし、深刻さがわかったのは特に最近。今の奨学金が年配の方に理解しにくい。制度が大きく変わっている。なぜ返さないのかという無理解な議論がある。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
→3年前に北海道の大学で教育制度についての講演をした。参加した教師に「最近の若い先生はどうですか」と問うと「最近の若い先生は貧しい」という回答。非正規の教員のことではなく、正規教員も貧しいとのこと。なぜ?「奨学金を返しているから」 以前は教員は免除されたが今はそうではない。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
→日本学生支援機構(旧:日本育英会)では利息無しと利息付きの奨学金の2種類がある。利息は年3%。2011年入学者の貸与月額は、利息付きで3万、5万、8万、10万、12万。これに、無利子5万円をプラスして借りる学生も。大学院15万円。こんなの返せるのか。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
奨学金の7割が利子付きになっているとのこと。
→昔は奨学金は利息はなかった。1984年に有利子奨学金を導入。当時の付帯決議では、無利子が根幹として有利子を補完、財政が好転すれば廃止を含め検討、となっていたのに守られなかった。学費を値上げし、有利子の枠を10倍に拡大させ、民間資金も導入した。今や奨学金の7割が有利子奨学金。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
無利子の枠も少なく、成績優秀者も利用できない現状があるそうです。
→無利子の奨学金を利用したくても、採用枠が少ないので、成績が基準に達していても8割が使えない。これを本人の責任にするのは間違っている。1998年には教職員、2004年には研究職を免除職にするのが廃止された。政府の新自由主義政策と奨学金の悪化は連動している。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
「金がないなら地方の国立大学に行けばいいじゃないか」的な議論も多かったのですが、学費が上がっていることを忘れてはいけません。
→「返済した奨学金は、次の奨学金の原資になる」ということになっていない。奨学金は金融事業であり、経済的に困窮している学生も多いので貧困ビジネスとも言える。/私立だから学費が高い、国公立に行け、という意見がある。しかし、今は国公立の学費も高い。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
→1969年の国立の学費は1万2000円。今は53万8000円。授業料が50倍近く上昇、消費者物価指数は3倍。国公立が安いというのは幻想。私立との格差が縮まっている。学生の反対が無くなり、学費は上がり続けた。大学の役割が変容。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
日本の大学進学率は低い
→欧米の大学進学率は?イギリスは50%、フランスも60%、日本の大学進学率は低い。欧米は学費が安い、あるいは無償、日本は学位が高い。日本ではさらに高卒の求人数が激減。1992年→2010年で167万6000件→19万8000件。87%の下落。景気の問題ではない。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
この論点も興味深いですね。ぼくは基本的に、日本の大学進学率は上げるべきだと考えている立場です。日本全体の学力を向上させたければ、できるだけ多くの人に大学に進学してもらうことは、合理的な選択肢となるでしょう。そのためには、人々の自助努力に頼るのではなく、十分に税金を投入すべき(市民は税負担を甘受すべき)だ、ということです。
解決策について
制度上の解決案として、大内裕和さんはこのような指摘をしています。
→奨学金は返せる人は返したらいい。しかし、返せないのに返せというのは無理。一定の収入以下の猶予・減額・免除を拡充、猶予5年上限の撤廃を。また、有利子奨学金を改善させるべき。延滞金の廃止し、無利子奨学金を増やす。給付型奨学金の導入など、奨学金制度を改善させるべき。→
— 徳武 聡子(司法書士) (@Satoko_Tokutake) October 12, 2013
まだまだ政治の争点まで昇華されていませんが、こうした問題提起が広がっていけば、解決案も具体的に議論されるようになるでしょうね。ぼくの感覚では、このご時世に利子付きで720万円の借金を年端も行かない若者に課すのは「おかしい」ので、引きつづき拡散していきます。
まとめ全文はこちらから。当事者の声も掲載されています。
2013年10月12日(土)大阪弁護士会主催シンポジウム「奨学金の今と未来を考える」まとめ – Togetter
ぼくのスタンスは下記に記してあります。
・狂った日本の奨学金制度:大学卒業のために「720万円の借金(利子付き)」を背負うのは自己責任?
・やっぱり、奨学金問題は自己責任ではない:ご意見に反論いたします
・「努力できる」あなたは、とっても恵まれているんですよ