シリア:化学兵器禁止条約に14日に加入 190カ国目
毎日新聞 2013年10月13日 21時59分
【ブリュッセル斎藤義彦】シリアが14日、化学兵器禁止条約に加入する。ノーベル平和賞受賞が決まった化学兵器禁止機関(OPCW)を事務局とする同条約はこれで加盟190カ国になり、核拡散防止条約(NPT)と並び、世界最大の軍縮条約となる。OPCWは未加入・未批准の北朝鮮など6カ国に働きかけ、化学兵器全廃を目指す。
シリアの化学兵器を廃棄する米露合意が先月14日に成立したのを受け、シリアは同日、条約加入の寄託書を国連に提出。30日後の14日、条約がシリアに発効する。
シリアは▽保有化学兵器の量や種類、保管場所▽化学兵器が生産可能な軍民の生産・加工施設−−を申告する義務がある。通常は条約発効から30日以内だが、OPCWの決定機関・執行理事会は27日までと指定した。現在、シリアの専門家2人がOPCWと正式な申告書を作成中だ。
また、生産・加工施設は11月1日まで、化学兵器は来年半ばまでに廃棄する義務がある。
条約は兵器と生産・加工施設の査察を義務付けるが、シリアは既に6日からOPCWと国連の査察を受け入れた。条約は、不順守の疑いがあれば、他の加盟国の要請による強制査察も認め、重大な違反の場合、国連安保理に付託することも規定する。シリアは厳しい監視下に置かれる。
シリアが加入し、化学兵器禁止条約の加盟国数はNPTと同じ190となる。NPTは米露英仏中の5カ国にだけ核兵器保有を認め、他国への拡散を防ぐ条約。5保有国に核軍縮を求めているが進展は鈍い。一方、1997年発効の化学兵器禁止条約は2012年までの兵器廃棄を定め、世界の保有数の8割を廃棄した。