化学兵器禁止機関:条約参加、6カ国に呼びかけへ
毎日新聞 2013年10月13日 11時34分
【ブリュッセル斎藤義彦】ノーベル平和賞受賞が決まった化学兵器禁止機関(OPCW、本部オランダ・ハーグ)の決定機関・執行理事会(41カ国)が11日に開かれ、平和賞受賞を機に、未加入・未批准の北朝鮮など6カ国に化学兵器禁止条約への「可能な限り早い」参加を呼びかける報告書をまとめることで合意した。年末の締約国会議に提出する見通し。OPCWは6カ国に圧力を強め、「化学兵器なき世界」を目指す。
外交筋によると、11日の理事会では、シリアが14日に加入し、加盟国が190に達することから、未批准のイスラエル、ミャンマー、未加入の北朝鮮、アンゴラ、エジプト、南スーダンに参加への圧力を強める必要性について協議。OPCWに対するノーベル平和賞授賞決定のニュースが流れたことを受け、年末の締約国会議に向けて報告書をまとめ、6カ国の「可能な限り早い時期の」参加を強く求めることで合意した。
未加入・未批准の6カ国には、加入に問題はなくても準備が整っていない国や、財政的問題を抱える国もある。OPCWは、条約への理解を呼びかけるイベントを開くなど条約参加への協力活動も展開しており、圧力強化とともに、6カ国への支援も強める方針だ。
イスラエルは敵対関係にあるシリアが化学兵器を持つため、禁止条約に署名したが批准を見合わせたとみられる。シリアが廃棄すればイスラエルは批准しない理由がなくなる。エジプトは化学兵器の使用例もあるとされるが、友好関係にあるイスラエルが批准すれば加入せざるを得ない。OPCW関係者はアンゴラや南スーダン、民主化を始めたミャンマーの条約参加は「比較的容易」とみる。北朝鮮については「廃棄が安全保障につながることを訴えていくべきだ」と話した。