田中正造:没後100年「未来への大行進」に800人
毎日新聞 2013年10月13日 19時40分(最終更新 10月13日 23時03分)
栃木県・足尾鉱毒事件の被害者救済に半生をささげた政治家、田中正造(1841〜1913)の没後100年を記念し、当時の葬列を再現した「未来への大行進」が13日、生誕地の同県佐野市で行われ、市民ら約800人が参加した。
正造は活動資金集めの途上、胃がんに倒れた。市内の惣宗寺(そうしゅうじ)で営まれた本葬では、数万人が見送ったとされる。
催しは人命や人権、環境を優先した正造の思想を次世代につなぐ狙いで「記念事業を進める会」が主催。当時のように同寺を出発、市中心部を約1時間練り歩いた。正造に扮(ふん)した白ひげ姿で明治天皇への「直訴状」を掲げる人や「真の文明は山を荒らさず」などの名言を書いた垂れ幕を持って歩く人もいた。
正造に扮して孫と参加した同市の無職、岩月秀樹さん(68)は「教訓は生かされず、水俣病や福島第1原発事故などの悲劇が繰り返された。今起きている問題を孫の世代に先送りせず、自分たちの手で解決しなければならない」と話していた。【足立旬子】