「現状を見れば明らかに中国軍だ」との説が多数
米中経済安全保障検討委員会のラリー・ウォーツェル委員は、「中国は多額の軍事投資をし続けているが、日本の軍事力にはいまだに及ばない。アメリカ軍を除外すると、東アジア地域で最強の海軍力と最強の空軍力を誇っているのは、間違いなく日本である」とワシントンDCのInstitute of World Politics(大学院レベルの教育機関)で語った。そして「日本は憲法第9条によって国家主権発動としての戦争を永久に放棄しているものの、最新鋭かつ最も効率的な海上自衛隊と航空自衛隊を維持しているため、とても日本と事を構えようとする国は現れないであろう」とも指摘した。
だが、ウォーツェル博士の意見に対して「中国ではなくなぜ日本!?」という疑問の声が殺到している。
それら反対意見の多くを要約すると次のようになる。「主力戦闘機の数も攻撃潜水艦の数も人民解放軍は自衛隊の倍以上であり、日本には弾道ミサイルも攻撃原潜もない。自衛隊の方が、訓練やロジスティックスやテクノロジーが優っているとの指摘もあるが、5年前ならばいざしらず、現在の人民解放軍のそれらのレベルがいまだに自衛隊に及ばなくとも、そのような質的劣勢は様々な装備の量的優勢によって凌駕してしまっている。それだけではなく、人民解放軍はアメリカはじめ世界中から様々な手段により手に入れている最新技術を実用化し続けているため、テクノロジーの差だって逆転しているかもしれない」
このような人民解放軍優勢論に対して、「いくら優秀な兵器を数多く揃えても、コミュニケーションシステム、指揮・統制システム、情報システム、訓練といった軍事の根幹をなす分野のほとんど全てにおいて人民解放軍はトラブルを抱えている。果たして、そのような軍隊が、効率的に各種最新兵器を活用して素晴らしい作戦行動を実施できるのであろうか?」という疑問の声も少なくない。
しかしながら、「アメリカやヨーロッパ諸国から中国に流出した(あるいは中国によって盗み取られた)最先端軍事技術の実用化速度から判断すると、中国の軍事技術レベルは日本をはるかに凌駕してしまっている。中国は軍事的にははるかに日本より強力な国家となっており、かつては比較することすら馬鹿げていた人民解放軍とアメリカ軍の質的・量的隔たりすら、現在では急速に縮まってきており、その隔たりは『あと、どのくらいで埋まってしまうのであろうか?』という検討が加えられる段階にまで狭まってしまっている。すなわち、中国人民解放軍の軍事力は、日本自衛隊などと比較する段階ではなくアメリカ軍と比較する段階に立ち至っているのである」といった内容の中国優勢論が数多く主張されている。
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