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10月

2013

しまむら土下座画像の女性逮捕 2chの”スネーク”に違法性は? 唐澤弁護士「損害賠償と脅迫罪が問われる」

衣料品店しまむらで店員に土下座を強要してその画像をTwitterに投稿した主婦が強要罪で逮捕された。
2chの炎上が発祥となりしまむら側が被害届を提出。主婦の逮捕という事態に陥った。

 

2ch内では主婦が逮捕されたことで歓声が沸き起こっている。”容疑者”として実名と住所がマスコミに報道されたことにより2chネラーの目的としていた「社会的抹殺」が完遂されたのだ。
逮捕以前から2ch上では主婦の個人情報と中傷が投稿され続けている。スネークとよばれる覆面行動で現地で本人をつけまわし顔写真を盗撮してネットに晒すなどエスカレート。さらにこの個人情報をネット上に残存させ拡大させることで恒久的に主婦に不利益を与えようとする。
土下座を強要した主婦は過去のTwitterからネット右翼であると推測されていた。だが2chネラーは収集した情報から女性が北朝鮮に関係する人物であると断定。一連の排外主義的な憎悪も加勢して騒ぎは拡大された。
掲示板では幼い子供の個人情報まで晒されておりその将来が危惧される。

現地において個人を探りネットに晒す「スネーク」とよばれる行動そして2chの個人情報晒しは罪にならないのだろうか?


これについてネット中傷の訴訟で数々の案件を抱える恒心綜合法律事務所
の唐澤貴洋弁護士に見解を伺った。

「顔写真については、肖像権に関する情報ですが、すでに女性により自発的に公開されているものであれば、これについても違法性を問うことは困難です。」と唐澤弁護士は断定する。

「しかし、家族の情報については、家族の構成員に関するプライバシーを侵害する行為であり、民亊的に違法性が問われる可能性が高いです(民法709条)。
個人情報をインターネットに掲載する行為は、プライバシーを侵害する行為であり、原則的に民事上の損害賠償責任を問われる行為です。
また、女性やその家族に対して生命、身体、又はその財産に対して害悪を加えることを告知して、女性やその家族を
畏怖させる者に対しては、脅迫罪が問われます(刑法222条)
個人情報を晒されることでお困りの場合は、名誉権侵害、プライバシー権侵害への法的対応で経験のある弁護士にご相談されるか、お住まいの近くの警察署にご相談ください。」

現在主婦と家族の個人情報を晒してるのは2ch既婚女性板。この板は2011年のフジテレビデモから政治思想スレが目立ち始め、趣味に特化した専門性もなく、「ネタ」としての笑い要素もないため新しい参入者は減っている。そのため掲示板内の過激化した風潮を問題として指摘できる一般人は少ない。
スレッドの世界の基準の中で生きる2chネラーは一般通念からかけ離れて違法行為も平然を行う。そのため2chの中でも既婚女性板は閉塞性とカルト性がより先鋭化した板だ。
投稿者層は「暇な主婦説」「主婦を装った男性説」「主婦ではないけどメンタルヘルスに問題ある女性説」など諸説あるが匿名集団であるため今のところその正体は明らかになっていない。

ネット炎上で殺人や傷害事件にまで発展した事例はいまのところないが、議員が炎上をきっかけに自殺した事件は記憶に新しい。
ネット上で自宅住所まで晒された個人はつねに不特定多数から何らかの危害が及ぶ危険に晒されている。
 現実とネットの垣根を越えてインターネットの「人を殺す道具」としての傾向は強まっている。

今回の逮捕を既婚女性板の2chネラーは自分達の圧力で個人を逮捕にまで持ち込んだと喧伝。自らが所属するネット勢力の影響力を誇示する。警察が2chの言論を受容してくれたと投稿する者までいる。炎上を機にSNSでふざけた者が書類送検、逮捕される光景は日常となりつつある。
だが裏を返せば警察による安易なネット取締りへの足がかり与えてしまったことを示唆している。