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●Disc.91
「フライパン 〜小さな穴の大きな秘密〜」
今回は青葉区のM.N.洗うたびウンザリさんから届いた質問です。
「フライパンの持ち手の根元に、直径1〜2mmの小さな穴が開いているんです。コレは一体、何ですか?長年の疑問です」
という、不思議なお話です。
さっそく社内にあった料理コーナーなどで使うフライパンを数本かき集めてみると、ありますあります!
ハンドルの根元に小さな穴が2つずつ。コレも……こっちのも……。穴が開いていない物もあるにはあるようですが、何でしょうねコレ?
M.N.洗うたびウンザリさんによれば、洗うとき泡を含んだ水が、この小さな穴に入ってしまい、なかなか抜けてくれないとも言います。やってみましたが、たしかに。
僕は普段、料理をしないのでよく分かりません。フライパンを使う人なら知っているかもしれませんね。
街で実際にフライパンを見せながら、尋ねて回りますが……。
「何だろう?手がムレないように?」
「下に置くものとフィットさせるようにする穴かな?」
「食器洗い機に入れると、この穴から水が出て来る事がある。でも何のために開いているのかは……」
皆さんの答えも、あまり要領を得ないようです。ココはひとつ、プロにお答えを出して頂きましょう。
若林区卸町の老舗 奥田金物本店を訪ねました。
専務の山本潤美(ますみ)さんに、お聞きします。
フライパンの小さい穴は一体何でしょうか?
「水や空気を抜くための穴です」
はい?どういう事でしょうか。
山本さんいわく、フライパンはハンドルの中が空洞になっていて、洗う時ココに入ってしまった水を抜くために穴が開けられている……というのが一つ。
水が残ってしまうと、カルキが中のネジを腐食するなどして劣化を早めるのだとか。
多くのフライパンは、軽量化を主な目的にハンドル内部が空洞になっています。
ハンドルが重いとフライパンのサイズによっては平らに置けず傾いてしまうため、バランスを取っているわけです。ココに水を残さない工夫が、小さい穴となって表れているのですね。
もう一つ、この小さい穴には「圧力を抜く」という重要な役割があります。
理科の授業を思い出して下さい。水や空気は、温まると膨張する性質がありました。フライパンを加熱すると、ハンドル内部の水や空気が膨張して持ち手を痛めてしまうおそれがあります。そこで、内側からの圧力を逃がすために、穴が必要だったのです。
しかしですねぇ、穴が開いていないフライパンというのも見つけたんですけど。
山本さんとともにハンドル部分を分解してみますと、穴のないタイプのフライパンは、ハンドル内部が空洞ではありませんでした。
当然、中に水や空気は入りませんから、逃がすための穴も必要ないのです。なるほど!
さらに、ステンレス一体成型のタイプも中に水や空気が入らないため、やはり抜き穴は開けられていません。
穴の意味はよく分かったのですが、M.N.洗うたびウンザリさんは「洗うとき泡を含んだ水が、この小さな穴に入ってしまい、なかなか抜けてくれない」と悩んでおられました。
この点についてお聞きしてみますと、「先端を吊るして自然乾燥すると水がきれいに切れます」と山本さん。
自然乾燥を待たずすぐまた次の料理に使う場合は、穴の部分をタオルなどで包んでトントン叩いてやると水が出て来る……とのお話でした。
小さな穴には大きな役割があった!フライパンのお話でした。
☆オマケ☆
山本さん直伝 「フライパンの正しい使い方」
1. 樹脂加工の物は空炊きしない。
⇒ 加工が剥がれてしまいます。
2. 強火は基本的に必要なし!
⇒ 熱ムラが起こりやすい。
「強火でなくてもパラパラ炒飯は作れる」 by 山本さん
3. 使ったらすぐ洗う。
冷たくなってからだと汚れが落ちず、熱の伝わり方も 悪くなってしまうそうです!
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