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<社民党>改名後初の党首選 再生のきっかけとなるか

毎日新聞 10月12日(土)11時53分配信

<社民党>改名後初の党首選 再生のきっかけとなるか

17年ぶりとなる社民党党首選の党員投票が始まり、1票を投じる世田谷区議=東京都世田谷区の同党世田谷総支部で2013年10月12日午前9時32分、宮間俊樹撮影

 17年ぶりの選挙戦となった社民党党首選の投票が12日午前から始まった。1996年に旧社会党から党名が変わり、党首選が複数候補で争われるのは初めて。かつての野党第1党の流れをくむ「老舗政党」は長引く党勢低迷に苦しみ、国会での勢力は党名変更時の99議席から5議席へ激減した。有権者の関心を高め、何とか党再生のきっかけをつかみたい−−こんな期待を込めた選挙戦で、社民党自体は勝ったのか、負けたのか。【光田宗義、仙石恭】

 東京都世田谷区の住宅街にある社民党世田谷総支部には12日午前、段ボール箱を再利用した手作りの投票箱が用意され、15人ほどが投票にやってきた。約50年の党員歴を持つ世田谷区議の唐沢としみさん(75)は「社会党時代と比べ、党は落ちるところまで落ちた。国民の中に積極的に入り、党を立て直すべきだ」と語り、1票を投じた。

 今回の党首選は、昨年12月の衆院選と7月の参院選敗北を受け、引責辞任した福島瑞穂前党首の後継を選ぶ選挙だ。9月27日に告示され、12、13日に投票、14日に開票され、新党首が選出される。東京都豊島区議の石川大我(たいが)氏(39)と、党政審会長で参院議員の吉田忠智(ただとも)氏(57)による一騎打ちの構図で、党勢低迷から脱却するための党再建策が焦点となった。

 しかし、実質16日間の選挙戦が突きつけたのは、今の社民党が抱える「弱さ」だった。それぞれ1票が与えられる有権者は5人の所属国会議員を含め、党員・協力党員計1万7410人。旧社会党最後の委員長選として、村山富市元首相が秋葉忠利元衆院議員を破った96年1月当時、党員・協力党員は約11万1000人を数え、この間、約6分の1にまで落ち込んだ。

 10日、インターネット動画サイト「ニコニコ動画」の党首選演説・討論会。石川氏が「今変わらないと、社民党は消滅してしまう」と訴えれば、吉田氏も「労組依存と活動不足で、市民に広がりをつくることができなかった」と強調。両氏とも強い危機感は共有するものの、党再生への具体策は見えない。

 7月の参院選で、社民党の獲得議席は過去最低の1議席にとどまった。同党と同様、護憲や脱原発、雇用の立て直しを訴えた共産党は8議席を得ており、勢いの差は鮮明だ。共産党関係者は社民党との違いについて「うちはネット選挙で成功したが、足元を支えたのはやはり全国32万人の党員だ。社民党の党員数では、どんな対策をやっても厳しい」と分析する。

 社民党の初代党首だった村山氏は、今回の党首選について「党の殻に閉じこもるのではなく、新党を推進する先頭に立つべきだ。前進の兆しをつくってほしい」と期待する。しかし、雨の中で5日、開かれた東京・渋谷の街頭演説会の聴衆は50人ほど。所属地方議員の一人は選挙戦の最中、こうもらした。「これが最後の党首選になるかもしれないな」

最終更新:10月12日(土)16時31分

毎日新聞

 
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