大阪・研究所統合:給与体系違い、難航 都構想にも影響か
毎日新聞 2013年10月13日 12時36分
大阪府と大阪市の職員給与体系の違いが原因で、半年後に迫る府市の研究所統合が難航している。大阪府市を再編する「大阪都構想」の先駆けと位置づけられるが、新しい給与体系が決まらない。2015年4月の都への移行で市職員が「都」職員になる際も、待遇見直しで同様の混乱が生じる可能性をはらんでいる。
府立公衆衛生研究所(公衛研、大阪市東成区)と、市立環境科学研究所(環科研、同市天王寺区)はそれぞれ、感染症や食中毒の原因検査や、医薬品や公害について調査を行う。共通業務を整理し効率的に運用するため、単独の地方独立行政法人に来年4月統合すると、府市が昨年9月に決めた。新体制移行後の研究員ら計200人の待遇は、今年夏をめどに決める予定だった。
ところが、平均給与月額が府職員36万9174円(昨年4月現在)に対し、市職員は39万7059円(同)と格差があることが判明。両研究所の研究員も、それぞれ府市本体の給与体系に沿うため、統一すると市側にとっては引き下げとなりかねない。
格差の要因として、勤務地の物価を勘案した「地域手当」の割合が、市は基本給の15%なのに、府は府内一律10%としている点がある。また市は、府にはない課長代理ポストに管理職手当を支給している。調整が必要だが、難航が予想される労使交渉を前に、府市間の協議ですら一致点を見いだせていない。大阪府市大都市局は11日の府議会委員会で、「とりわけ人事給与制度は、府市の研究所間で制度や運用に違いがある」と難航を認めた。今回の協議の行方は、市職員のうち「都」に移籍する約2300人の処遇にも影響を及ぼす可能性がある。
両研究所の担当者は「給与体系は来年度予算の編成作業にも関わり、一日でも早く決定したい」としている。【熊谷豪】