道内
手結べるか、JR北海道4労組 会社存続の危機も、なお不協和音
(10/13 09:14)
JR北海道への追加の特別保安監査を終えた国土交通省の担当者は12日夕、同本社での記者会見で、JR北海道の労使関係について「企業風土、経営全般に問題意識を持っている」と指摘した。同社内の四つの労働組合は、過去の路線対立が尾を引き、安全対策に一枚岩で取り組めないと指摘されている。トラブルや不祥事が止まらない「会社存続の危機」(野島誠社長)に、4労組はどう取り組もうとしているのか―。
4労組は、組合員の8割強が入る最大労組のJR北海道労組(6千人弱、JR総連系)と、JR北労組(600人弱、JR連合系)、国労道本(百数十人)、全日本建設交運一般労働組合北海道鉄道本部=建交労道本部(十数人)。
今月2日、札幌市中央区のJR桑園駅に近い北海道労組の本部。北労組の田原孝蔵委員長と、国労道本の幹部ら2労組の計3人が訪れ、北海道労組の鎌田寛司委員長に文書を手渡した。
「失われた信頼を回復すべく、各労組が一致協力して取り組むことが必要である」
北労組委員長名の文書は、安全確保のために4労組が共同行動を取ることを呼び掛けていた。北労組は建交労道本部にも同じ文書を届けた。
北労組によると、3労組への呼び掛けは、北労組が発足した2003年以来初めて。北労組の昆弘美書記長は「会社が危機的状況にある中、何とか手を携えようと考えた」と説明する。
しかし、北海道労組は文書中の「(会社側が)組合の違いによらず公平公正な扱いを」などの条件が容認できないと受け入れを拒否。国労は「少なくとも3労組の参加が必要」、建交労も「対応を検討中」とする。
その一方で、国労は4日、「人命第一の会社に生まれ変わるために抜本的な再発防止を」とする声明を発表。建交労も11日、「安全確保に万全を期すことを強く求める。企業体質や経営方針の検証を」との声明を出した。
北海道労組は対外的な声明は出していないが、笹森哲也書記長は「原因究明と再発防止に取り組み、労使共に組織の立て直しに当たらなければならない」と強調する。
強い危機感は4労組に共通しているのに、共同行動を取れない現実。「こんなことやっている場合じゃないのに」(北海道労組の30代組合員)と、職場内にはため息が漏れる。
4労組が協調できない背景には、1987年の国鉄分割・民営化への方針の違いがある。民営化に反対した国労や全国鉄動力車労働組合=全動労(現・建交労)の組合員がJRへの採用で差別された不採用問題なども影を落とす。
労使関係にも課題はある。JR北海道の小山俊幸常務(労務担当)は「良好な労使関係の維持に向け取り組んでいる。(どの組合に対しても)同じ対応をしている」と説明するが、北海道労組以外の3労組は「労使交渉の順序が後回しになっている」などとして会社側の労務政策を批判。こうした構図も組合間の溝を深くしている。<北海道新聞10月13日朝刊掲載>
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