放射線と除染_15~ストロンチウムの希釈 [医学~臨床]
放射線と、体内放射能除去について勉強しています。
この放射線シリーズ(!?)を始めた頃は
福島原発の原子炉より外への放射性物質の放出はなかったのですが
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-18
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-19
どうも炉外に漏れている、という時期を経て
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-22
現在では、敷地外へ漏れる核種の濃度をなるべく低いものに・・
との段階になっているようです。
さて、体内に入った放射性核種を
体外へ除去する方法として、まず「希釈」を勉強しています。
今日は、ストロンチウムの希釈ですが、体内に入った核種の除去に関しては
やはりストロンチウムの体内動態を理解する事が必須のようです。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-26
ストロンチウムの多くは骨に沈着しますが、その結合力は強力で
なかなか排泄されにくい性質がありますので、沈着前の希釈が肝要です。
まず、消化管からの吸収の段階での希釈です。
カルシウムと一緒に存在した場合には、
ストロンチウムよりもカルシウムの方が生体に取り込まれやすいため
(ただし、選択性がさほど大きいわけではないようですが)
食事の中にカルシウムが多く含まれているとストロンチウムの吸収率は低くなります。
また、沈着を阻害する方法としての希釈としては、
安定ストロンチウムやカルシウムを投与すると骨への沈着が減る事が分かっているため
高カルシウム食・高ストロンチウム食・高ジルコニウム食を与える研究がなされています。
これらの食事をラットに5日間与えた後で放射性ストロンチウムを腹腔内に投与したところ、
5日目以降の体内残留率が、高ストロンチウム食では約1/5に、
高ジルコニウム食&高カルシウム食では約1/2になっていて、希釈効果があったそうです。
また、ヒトでの高ストロンチウム食の実験結果もあり
乳酸ストロンチウム食を15日摂取した後で放射性ストロンチウムを静脈内投与したところ
体内残留率は約1/2となったそうです。
ヒトでも、安定ストロンチウムによる希釈効果がある事が示された、といえるのでしょうが
これって、非常に怖い実験・・・ですよね(><)
その他、安定カルシウムにも、希釈効果があり
ラットを高カルシウム食で飼育した後に、85 Sr を経口投与した場合の
体内残留率は高カルシウム食での飼育期間に関連したそうです。
高カルシウム食での飼育期間が15日だと残留率は約1/2、
30日飼育した後では、約1/5まで消化管吸収率が低下しています。
これらの研究結果を基にして
NCRP:National Council on Radiation Protection アメリカ放射線防護測定審議会
というアメリカの機関が発表している方法としては・・・
乳酸ストロンチウム500~1500mgを1日1回数週間連続して経口投与すると
放射性ストロンチウム除去効果が見られ、
グルコン酸ストロンチウム600mgを1日1回6日間静脈内投与すると
放射性ストロンチウム排泄増加・被曝低減化が期待できるそうです。
この放射線シリーズ(!?)を始めた頃は
福島原発の原子炉より外への放射性物質の放出はなかったのですが
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-18
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-19
どうも炉外に漏れている、という時期を経て
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-22
現在では、敷地外へ漏れる核種の濃度をなるべく低いものに・・
との段階になっているようです。
さて、体内に入った放射性核種を
体外へ除去する方法として、まず「希釈」を勉強しています。
今日は、ストロンチウムの希釈ですが、体内に入った核種の除去に関しては
やはりストロンチウムの体内動態を理解する事が必須のようです。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-26
ストロンチウムの多くは骨に沈着しますが、その結合力は強力で
なかなか排泄されにくい性質がありますので、沈着前の希釈が肝要です。
まず、消化管からの吸収の段階での希釈です。
カルシウムと一緒に存在した場合には、
ストロンチウムよりもカルシウムの方が生体に取り込まれやすいため
(ただし、選択性がさほど大きいわけではないようですが)
食事の中にカルシウムが多く含まれているとストロンチウムの吸収率は低くなります。
また、沈着を阻害する方法としての希釈としては、
安定ストロンチウムやカルシウムを投与すると骨への沈着が減る事が分かっているため
高カルシウム食・高ストロンチウム食・高ジルコニウム食を与える研究がなされています。
これらの食事をラットに5日間与えた後で放射性ストロンチウムを腹腔内に投与したところ、
5日目以降の体内残留率が、高ストロンチウム食では約1/5に、
高ジルコニウム食&高カルシウム食では約1/2になっていて、希釈効果があったそうです。
また、ヒトでの高ストロンチウム食の実験結果もあり
乳酸ストロンチウム食を15日摂取した後で放射性ストロンチウムを静脈内投与したところ
体内残留率は約1/2となったそうです。
ヒトでも、安定ストロンチウムによる希釈効果がある事が示された、といえるのでしょうが
これって、非常に怖い実験・・・ですよね(><)
その他、安定カルシウムにも、希釈効果があり
ラットを高カルシウム食で飼育した後に、85 Sr を経口投与した場合の
体内残留率は高カルシウム食での飼育期間に関連したそうです。
高カルシウム食での飼育期間が15日だと残留率は約1/2、
30日飼育した後では、約1/5まで消化管吸収率が低下しています。
これらの研究結果を基にして
NCRP:National Council on Radiation Protection アメリカ放射線防護測定審議会
というアメリカの機関が発表している方法としては・・・
乳酸ストロンチウム500~1500mgを1日1回数週間連続して経口投与すると
放射性ストロンチウム除去効果が見られ、
グルコン酸ストロンチウム600mgを1日1回6日間静脈内投与すると
放射性ストロンチウム排泄増加・被曝低減化が期待できるそうです。
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