いざ!秋の舞台へ:’13長崎くんち/5 栄町 「阿蘭陀万才」息ぴったり /長崎
毎日新聞 2013年09月28日 地方版
長崎に漂流したオランダ人2人が、生計をたてるために万才(まんざい)を披露しながら正月を祝って回った−−。「阿蘭陀万才(おらんだまんざい)」は、ユーモラスな動きが見どころの踊りだ。
主役は2人。くんちでは女性が演じてきたが、今回初めて、男性コンビで挑む。
花柳太香九郎(たかくろう)(西村圭)さん(28)がゆったりとした「万才」を、花柳悠寿郎(ゆうじゅろう)(折原悠希)さん(29)がコミカルな「才蔵」を踊る。2人は手に持った扇と鼓(つづみ)を取り合ったり、おちょくったり……。セリフはなく、掛け合いで観客の笑いを誘う。
2人は幼なじみ。師匠の花柳太香寿郎(たかじゅろう)さんの母寿女香(すめか)さんが保育園で教えていて、日舞を始めた。長崎では数少ない男性の踊り手で「2人いたから、やってこれた」と口をそろえる。太香九郎さんは小学校の先生。今春、五島から長崎に異動で戻り、出演がかなったという。阿蘭陀万才の「万才」「才蔵」コンビは、2000年の「ながさき阿蘭陀年」イベントなどで経験しており「くんちで初の男性というのはあまり意識していない」。
師匠の花柳さんは前回06年のくんちで「才蔵」を演じた。日舞としては異色の、ジャンプしたり足を上げたりと動きのある踊り。2人の演技を「男性なのでスケールが大きく、華やか」と評価する。
性格は対照的だ。小学校の先生である太香九郎さんははきはきと話し、悠寿郎さんは「人見知り」で、一歩下がる。役柄のように対照的だが、踊りでの息はぴったり。興が乗ればアドリブも入れる。
週2、3回、仕事が終わった後、2人で自主練習を重ねてきた。「踊るのは楽しいが、その楽しさを見ている人に伝えるのが難しい」と2人。花柳師匠の言葉を思い返し、踊りに磨きをかけている。
〔長崎版〕