桜塚やっくんの教訓…高速道路で人身事故、ドライバーの責任と賠償は?
2013年10月11日 掲載
桜塚やっくんの事故は他人ごとじゃない/(C)日刊ゲンダイ
でも一方で、ドライバーの立場に立つと、もうひとつ心配なことがある。高速道路を運転中、歩行者をはねるなど人身事故を起こした場合、どう罰せられるかということだ。
高速道路は自動車専用道路で、法律上は歩行者がいてはならない場所。だから、高速道路で人身事故を起こしても、過失責任は一般道での人身事故よりかなり低くなる。
「高速道路での人身事故による過失責任は、〈歩行者90%、クルマ10%〉が一般的です。ドライバー側に著しい前方不注意がある場合や、スピード超過が認められる場合で、過失比率は変わってきますが、それでも〈歩行者80%、クルマ20%〉がせいぜい。ほとんどの場合、減点と罰金で処分されます」(日弁連交通事故相談センター)
加入する任意の自動車保険で、〈対人補償〉を〈無制限〉にしておけば、高速道路での人身事故でも補償の対象になる。
と、ここまで読むとホッとするかもしれないが、これはあくまで人身事故を起こした後にすぐクルマを止め、速やかに警察に通報した場合。いくら高速道路が、歩行者がいてはならない場所だとしても、〈轢(ひ)き逃げ〉となると話は別だ。
「人をはねたことを認識しながら走り去った場合は、自動車運転過失致死に加えて轢き逃げ、つまり〈救護義務違反〉となり刑事処分の対象になります。ただ、どうしても防ぎようのない事故と認定されれば、執行猶予が付いたり無罪になるケースもあります」(前出の交通事故相談センター)
死亡したやっくんとマネジャーの砂守孝多郎さん(55)は、別々の後続車にはねられた。山口県警に確認すると、2台とも、轢いた後はただちにクルマを止めたという。
警察庁によれば、高速道路で2012年の1年間に発生した196件の死亡事故のうち、41人が高速道路上で後続車に轢かれて亡くなっている。
クルマが時速80キロで走る場合、ブレーキを踏んでからクルマが停止するまでの距離は約53メートル。100メートル先にいる歩行者の発見が1秒遅れただけで、人身事故の可能性が大きくなる。
ありきたりだが、“万が一”のことがいつでも起こると覚悟して、安全運転が第一だ。