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ニホンウナギに新たな謎 「海で一生」4割も

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2013/10/12 6:30
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 マリンスノーは動物プランクトンなどの死骸が分解中のもので、大量に集めて餌とするのは困難だ。それに変わるものとして、色々な物質が試された。有効なエサはなかなか見つからなかったが、その中で、サメ卵の乾燥粉末が有効なことが明らかになった。これを見つけるまでに20年もかかる難業であった。その結果、実験的にはシラスまで育てることに成功し、ごく少数だが親にまで育てることもできた。大量生産までもう一息という感じである。

ウナギのレプトセファルス幼生。ふ化後250日=水産総合研究センター提供
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ウナギのレプトセファルス幼生。ふ化後250日=水産総合研究センター提供

■「海ウナギ」と「汽水ウナギ」

 ウナギはシラスになった後は川に上って育つものだと思っていた。しかし、最近の研究によると、シラスになっても川に上らず海で過ごす「海ウナギ」、河口などの塩分の薄い汽水域で過ごす「汽水ウナギ」もいることがわかってきた。

 ウナギの内耳の中に耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの小さな塊がある。耳石にわずかに含まれているストロンチウムを微量元素分析装置で測りカルシウムに対する比率を調べると、海にいたか、汽水にいたか、淡水にいたかがわかる。

 三河湾の定置網で採集されたウナギ199尾の耳石を調べたところ、海ウナギが40%、汽水ウナギが43%、川ウナギが17%だった。

 さらに、最近やっと明らかになった産卵場付近で調査船に採集された貴重な13尾の親ウナギの耳石を調べると、海ウナギが6尾、汽水ウナギが5尾、川ウナギが2尾であったという。ここでも川ウナギは2割以下しかいないのだ。

 まだわずかなサンプルでしかないが、この結果から判断すると、ニホンウナギの資源を支えているのは川ウナギではなく、海で一生を送る海ウナギではないかということになる。

 波濤万里うなぎは持たぬ航海図(正比古)

(葛西臨海水族園園長 西 源二郎)

 西 源二郎(にし・げんじろう) 1943年生まれ。専門は水族館学、魚類行動生態学。70年、東海大学の海洋科学博物館水族課学芸員となり、2004~09年に同博物館館長。同大学教授として全国の水族館で活躍する人材を育成した。11年から現職。著書に「水族館の仕事」など

※「生きものがたり」では日本経済新聞土曜夕刊の連載「野のしらべ」(社会面)と連動し、様々な生きものの四季折々の表情や人の暮らしとのかかわりを紹介します。

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