核不使用:政府、国連声明に署名へ 「核の傘」依存は維持

毎日新聞 2013年10月11日 21時38分(最終更新 10月11日 21時39分)

 岸田文雄外相は11日の記者会見で、国連総会第1委員会(軍縮・安全保障)が来週中にもまとめる核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明に署名することを表明した。これまでは米国の核兵器の抑止力に依存する現状に支障があると判断した場合は署名を見送っており、被爆地から反発の声が上がっていた。核軍縮を進める理念をアピールする意味があるが、声明は日本の提案で核抑止力を完全には否定しない方向に修正される見通しで、「核の傘」への依存も維持される。

 「被爆地の思いを世界に発信すべく、核軍縮・不拡散で強いリーダーシップを発揮していきたい」。岸田氏は記者会見で署名の意義をこう強調した。

 核兵器不使用をめぐっては昨年5月以降、国連総会や核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会で同趣旨の共同声明が3回発出された。今年4月には「いかなる状況でも核兵器が二度と使われないことが人類存続の利益になる」との声明に80カ国が参加したが、日本政府は安全保障政策との整合性から署名せず、「世界の期待を裏切った」(田上富久長崎市長)との批判が出ていた。

 今回の声明では基本線は変わらないが、修正によって「全体として核抑止力を否定しない内容」(外務省幹部)となる見通し。岸田氏も「現実の厳しい安全保障環境を踏まえて関係各国と協議を続け、適切な修正が行われた」と語った。

 来年4月には広島で軍縮・核不拡散をテーマにした外相会合が開かれる。2015年は原爆投下から70年にも当たり、「唯一の被爆国」として核廃絶に取り組む姿勢を示す必要に迫られていた。広島選出の岸田氏は6月、起草国のニュージーランドを訪問し、マカリー外相に修正を働きかけるなど、下準備を主導した。岸田氏は11日、外務省で核廃絶に取り組む高校生と面会し「努力を積み重ね、核兵器のない社会を目指して頑張っていきたい」と語った。

 ◇右傾化懸念の払拭狙う

 安倍政権に対しては、中韓両国が「右傾化」批判を高め、米国内の一部にも懸念がある。署名には、こうした懸念を払拭(ふっしょく)する狙いもあるとみられ、首相が掲げる「積極的平和主義」という主張にも沿うと判断した。首相に近い自民党議員は11日、「被爆国としてのアピールは他国に安心感を与えることにもなる」と語った。

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