道頓堀プール:泳ぎ倒すぞ 15年夏開業計画 世界一、800メートルプール
毎日新聞 2013年10月11日 大阪朝刊
大阪・ミナミの道頓堀川で実現を目指す巨大プール構想を巡り、地元商店主らが出資する設立準備会社は10日、事業計画を公表した。道頓堀開削400周年を迎える2015年6月に開業し、実現すれば約5000人を収容できる世界最大のプール(全長800メートル)が出現するという。ただ、道頓堀川で恒例化する夏の伝統行事の開催などに影響が及ぶため、関係者からは懸念する声も出ている。
会社は「道頓堀プールサイドアベニュー設立準備株式会社」(大阪市中央区)。社長の今井徹・道頓堀商店会長は大阪市内で記者会見し、「世界が驚く観光地になる」と胸を張った。構想を発案した大阪府市特別顧問で元経済企画庁長官の堺屋太一氏は「成功すれば東京五輪の数倍の経済効果も見込める」と語った。
事業計画によると、プールは、堀に架かる日本橋−深里(ふかり)橋間に防水性の布で作った組み立て式の箱型水槽(幅約10メートル、深さ約1・2メートル)を係留させ、1万トンの水道水を注ぎ込む。総事業費は約40億円。大阪府市の財政支援は受けず、資金は民間企業や個人の出資などで確保する。プール営業は毎年6月下旬〜9月上旬。利用料は1時間2000円(以降は同1000円)。期間中に約53万人の来場、約17億円の収入を見込む。
道頓堀プールを巡っては、ミナミの活性化を目指す今井社長らから相談を受けた堺屋氏が12年1月、大阪の「10大名物づくり」の一つとして提案した。【千脇康平】
◇実現に課題多く
実現に向けた課題は多い。
大阪市河川課によると、道頓堀川は市が管理する1級河川で、使用には市の占用許可が必要だ。他に川を利用する関係団体との合意や、災害時を想定した治水対策などの問題点解消が許可の条件になるという。
道頓堀川では、歌舞伎を盛り上げようと、1979年に「船乗り込み」が55年ぶりに復活した。歌舞伎役者らを乗せた船が川を巡航する伝統行事で、毎年6月末〜7月初めに開かれている。行事を支援する「関西・歌舞伎を愛する会」事務局長の川島靖男さん(69)は「役者の予定もあり、場所と時期は変えられない」と話す。【千脇康平、寺岡俊】