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「水俣条約」採択 水銀被害、地球規模で根絶 2013年10月10日

「水俣条約」採択 水銀被害、地球規模で根絶の写真、図解
「水銀に関する水俣条約」を採択し、拍手する議長役の石原環境相(中央)。左から2人目はUNEPのシュタイナー事務局長=10日午前11時10分すぎ、熊本市のホテル日航熊本(小野宏明)
「水俣条約」採択 水銀被害、地球規模で根絶の写真、図解
 「水銀に関する水俣条約」外交会議は10日午前、熊本市中央区のホテル日航熊本で、各国の閣僚級会合が始まり、水俣条約と発効までの取り組みなどを定めた関連決議を全会一致で採択した。採掘から廃棄まで全ての段階で削減措置を講じており、水銀汚染による健康被害根絶に向けた地球規模の取り組みが動き出す。

 主催する国連環境計画(UNEP)に加盟する約140カ国が参加。会議前、UNEPのアキム・シュタイナー事務局長は「水俣の人たちの苦難の道のりを真剣に考えてほしい。水銀削減へ行動する時期が来た。条約は地球上の生命を守るものだ」と呼び掛けた。

 議長に石原伸晃環境相を選出。政府間交渉委員会(INC)のフェルナンド・ルグリス議長(ウルグアイ)が「4年間の交渉が結実した。水銀撲滅につながることを願う」と報告した後、全会一致で採択した。石原環境相は「水銀のリスクを最大限減らす第一歩。これから多くの国々が早く批准していくよう、頑張っていかなければならない」と述べた。

 国際的な水銀規制の促進を目的に、2010年から条約制定に向けた政府間交渉委がスタート。日本政府の提案を受け、今年1月のスイス・ジュネーブでの会合で条約名を「水俣条約」と決めた。

 条約は35の条文と五つの付属書で構成。前文には「水俣病の教訓を認識し、水銀を適正管理することで水銀汚染による健康被害を防ぐ」との文言が盛り込まれた。水俣病の原因となったアセトアルデヒド製造工程での水銀使用は、18年までに原則禁止とする。

 輸出規制のほか、(1)水銀含有製品の製造や輸出入を20年までに原則禁止(2)大気や水、土壌への排出削減(3)適切な保管と廃棄-などを規定。汚染者が被害補償などを担う「汚染者負担の原則」は、明文化されていない。

 条約は、批准が50カ国に達して90日後に発効する。3年後の16年にも発効する見通し。(鎌倉尊信)

■水銀 唯一常温で液体の金属で気化しやすい。蛍光灯や体温計など身近な製品に使われている。有機水銀の一種のメチル水銀は毒性が強く、水俣病の原因となった。国連環境計画の世界水銀アセスメントによると、世界の経済活動で2010年に大気中に排出された水銀量は1960トン。最大の発生源は小規模金採掘と石炭燃焼で、全体の62%。アジア地域からの排出が世界の半分を占めている。


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