三鷹刺殺:ストーカー対処 まずは安全な場所へ
毎日新聞 2013年10月10日 07時00分(最終更新 10月10日 16時37分)
東京都三鷹市で私立高校3年の女子生徒(18)が殺害された事件は、つきまとい行為とエスカレートした場合の形態であるストーカーへの対策強化を目的とした改正ストーカー規制法施行(3日)直後に起きた。改正法は、つきまとい行為に電子メールの繰り返し送信を追加。警告や禁止命令を出す権限を加害者の住所地や被害を受けた地域の警察などにも広げたが、悲劇は繰り返された。
1999年に埼玉県桶川市で起きた女子大生ストーカー殺人事件の被害者の父、猪野憲一さん(63)は「法律ができても被害はなくならないことが明らかになった。一般人は警察に守ってもらうしかない。被害者の身辺保護など何があっても助けるという動きを警察が取らなかったことが残念だ」と訴える。
殺害された女子生徒の担任教諭は4日、高校最寄りの杉並署に電話で相談したが、三鷹署への引き継ぎはなかった。杉並署幹部は「電話での問い合わせの範囲で、正式に受理する以前の段階だった」と説明。女子生徒の名前や住所、詳細な被害状況なども把握しておらず、応対した生活安全課員が内容を記録して上司に報告することもなかった。
三鷹署は、8日午前に女子生徒が両親と相談に訪れた際、望む対応のチェックリストを提示。女子生徒は「注意、口頭警告」と「文書警告」の両方にチェックを入れた。シェルターへの避難要望などはなかったため、同署は文書警告の手続きを進めようと「メールのやり取りを教えてほしい」と要請。9日午前に改めて来てもらい話を聞く予定の中での凶行だった。
では、ストーカーから身を守るにはどうしたらいいのか。被害相談を受けているNPO法人「ヒューマニティ」(東京都大田区)の小早川明子理事長は「話し合っても仕方がない。まず安全な場所に身を置き、警察に対応を依頼して」と呼び掛ける。告訴するなど具体的に要望を伝えると警察も対応しやすいとアドバイスする。
携帯の着信拒否など関係を突然遮断するのは「状況を悪化させる可能性が高く、避けた方がいい」。カウンセラーや弁護士など第三者を窓口として対処することを勧める。