カジュアル衣料店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが2013年8月期、衣料品専門店として初めて売上高が1兆円を超えた。柳井正会長兼社長は公言していた「65歳での社長引退」を撤回すると表明。現状のグローバル展開は柳井社長が描いていたスピードには達していない。20年の売上高5兆円という目標に向けて、引き続き陣頭指揮をとる。
「残念だが社長を続けなければならない」。10日に開いた13年8月期の決算記者会見で、柳井社長は話した。来年2月で65歳になる柳井氏はかねて「65歳が経営者の体力、気力の限界」と語り、会長職に専念する考えを示していた。14年8月期末にユニクロの海外店舗数が約640と全体の4割に達する。「グローバル化を加速するなかで社長を退くことは不可能」と理由を述べた。
ファストリは20年にグループ売上高5兆円を目標に掲げる。主力のユニクロ事業は今期の売上高が前期比15%増の1兆780億円と初めて1兆円の大台に乗せる。
「真のグローバルブランド」(柳井社長)をめざすユニクロだが、海外事業は柳井社長が描いた目標には届いていない。
海外出店目標は従来、年200~300店だが、今期は下限の約200店。中国・香港・台湾は約100店と目標通りだが、50~100店を掲げる韓国・東南アジアは80店、50~100店を出したいという欧米は20店にとどまる。
世界最大の衣料品市場である米国では赤字が続く。「世界各国でナンバーワン」を目指す柳井社長にとって、ユニクロを世界トップのブランドに育てるには欧米での巻き返しが欠かせない。
ファストリのグローバル展開は欧米の衣料大手と比べると遅れをとっている。ファストリの海外売上高比率は約3割だが、「ZARA」を運営するインディテックス(スペイン)は、12年度に86の国・地域に約6千店を展開し、売上高の8割を自国以外で稼いだ。へネス・アンド・マウリッツ(H&M、スウェーデン)も12年度に48の国・地域に約2800店を出している。
売上高5兆円の達成には、ユニクロに続く事業の柱を育てることも必要。低価格店「ジーユー」は今期、売上高で2割増の1千億円を見込む。9月末に初出店した中国など、海外でどこまで広げられるかが問われる。
2度目の引退撤回となる柳井氏だが、地域や子会社などで若手への権限を移譲して、後継者を育てる。新規出店と同様、後継者育成でもスピード感が求められそうだ。
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